ぼくは軟弱なものだから

スコップを手にする代わりに

詩などを書いてゐる

あゝ、あそこで泥を掬ってゐる老人がゐる


野分が吹き去って薄の原が打倒されて

騎馬武者が五、六騎駈け通してゆく

色を尽くさずに落ちてゆくものが多い

世間はもう小さな秋どころではなく

ミゾソバもツリフネソウも泥の水に押し倒されて

長靴の周りはびしょびしょだ


ぼくはそれでも軟弱なものだから

スコップを手にする代わりに

詩などを書いて

TVにかじりついて

あゝ、よくないなぁと思ひながら

部屋の中をうろうろする


倉石智證