次のお月さんは何年か後になるといふに

それにしてもけふのお月さまは真んまるだ

ほんたうに中天にかうかうとかゝり


あれ、おじいちゃん出てらっしゃい

お月見だよ

○じゃつまんない、△なら

足萎えの自分を嗤ってゐる


薄がないからちょいと別なものを花に活けて

採れたてのビアンコをお供へして

線香を3本立てる

今年も息災でありますやうにと手を合わせる


おじいちゃん出てらっしゃい

とは云ふものの

先ほど雲古をトイレに転ばしてしまった

白ばくれてゐたのに

おじいちゃん、ちょいと立ってごらん

尻にずり下げられて

いつしたの

とこんどは子どものやうに眼をしわしわさせてゐる


足萎えに───

おお、真円だ

あの月を取ってくりりょと、

あの月を取ってくりりょと、

庭先の紫式部がびっしりと球体を付け始めた


倉石智證