「亭主の好きな赤烏帽子」
■13,9/13久里洋二さん「ヴァイオリンの木」

(絵は語る)

庭のある邸宅。テラスに出ると、ヴァイオリンの木から小鳥が奏でる朝の曲。

ああ、こんな家に住みたいな。


バイオリンの木

と云ふモノはなくて

おそらくバイオリンは木からできてゐて

おそらくバイオリンは木のなかに棲んでゐる


土の中からだったら土の音色の

金属の元素の中からだったらおそらく金管色の

木の中からだから

高い空の風の音とか

木の中に流れる水流の音や

根の微細な奥からやってくるなにか懐かしいささやきのやうな


それらがみんな一緒になって

「ゴーシュくん」

ではないが

木のものはなにかしっかりと落ち着かせるのだ


倉石智證