おまへさんはtraveler

いっつもわたしのまへから居なくなる

after glow 頬の輝きのあとで

身を乗り出す

暗闇の奈辺に落ちて酔ひ心地

指がさまよふ夜具のひと片

落ちる

崩をれる


男が先に行ってしまふなんていふことはなく

女がいっつも先に決めてしまふ

行けば既に蛻の殻だ

衣文掛が所在なげに壁に掛っているばかり


葛や薄の花野のはずれ

お狐さんがコンと鳴く

追いかけても、月は朧に今は間に合はない

奈辺へと指折り数へ

ひとり道行く先に

萩の花叢のおし開き揺れて

露吹きこぼれ、こぼれ

しとどに裾を濡らす


今宵道行きとて手と手を取り合へば

薄、萩、葛が先行きを隠しやり

手拭の端を口に

おまいさまと・・・

いっつも女がそれを決める


倉石智證