風呂場にて――――


子供はパンツのことを云った

子供はママとパパを呼んだ

子供は昨日のことを覚えていた

それは玩具やジュースやお菓子よりも大事なことだった

得意さうにパンツを自分の足元にずり下ろし

踏んづけた


きのうね、と自慢さうに指をさした

きのうね、と優しくパパが呼びかける

昨日が起き上がる

ママがうれしさうに笑いかける

それらは全部けふのことだった

こどもは小さな自分のちんちんをつまみ

きのうと今日を云ひ

誇らしげに――――


それを明日が

ドアの隙間から覗いてゐる


倉石智證

感覚として前頭葉に、

昨日、今日、明日を同時に獲得する