思い切って

ようし、婚活に行かう

蜂に刺されるんだ

まるでダリ、みたいじゃないか

くびれたウェスト、豊満なお尻、鮮烈な横縞

ナイスなバディ


ひと思ひにと、人に思ひやりを

とではとってもちがふ

欲望がやうやく願望になる

あゝ、婚活に行って

あゝ、無性に刺されたいのだ


FCで久里さんはアワテンボウで

アワテンボウでうっかりしてスズメバチを踏んづける

水虫菌と一緒になって

あゝ、治るのになんと半年もかかってしまった


積乱雲が塔のやうに立って

河原に行けば柳の木の枝や

石組の間にいくらでも脚長蜂の巣があった

遠巻きにしてそして、風下から

まず蜂の巣を棒でたたき落とすのだ


爆音のやうな蜂の羽音

草むらにひれ伏して

いやしかし、痛烈に刺されるのだ

蜂は深く針を入れてしまって

右目の下にぶら下がり

あゝ、なんと云ふことだぶんぶん羽ばたき


咄嗟のことなんていくらでもある

ぼくは蜂を捕まえて口の中の歯でがじがししてやった

大人たちが小便がいいといふので

放尿しておしっこを手に掬い塗りたくる

なんだか温ぬるくて甘たるい匂ひまでする

夏雲の下で盛んに、

それは夏休みの宿題と同じくらいに大事なことだった


白い蜂の子が巣の中で蠢く

口の中に放り込む

少しなまぐさいミルキーな味がする

蜂の形になりかかってゐるのも放り込む

勝利の誇らしげな瞬間である

雲が湧き立つ


翻って都会では

あゝ、やっぱり傘が無い

スクランブルや

地下鉄の冷房車の中に蜂が飛ぶわけにはいかない

どちらかといふとみんなぐったりしてうんざりしてゐる

ひと思ひにと

人に思ひやりを

とではとっても違ふ


さあ、思い切って

ようし、婚活に行かう

くびれたウェスト、豊満なお尻、鮮烈な横縞

あゝ、なんとうっとりするやうなナイスなパティなのだ


倉石智證