身の罪障を嘆くのではなく

かろかろと死んで

あう向けになって

蟻にたかられて

眼を剥いてゐる


はげしく恋をするのだ

まるで生涯を鳴くために生まれて来た

楽器をお腹に持って

モノを喰ふためではなく

そのぐわぁらん洞は教会の天井の響きに蠕動する


7年もの間

そして、かろかろと

それを、

われわれは今やぜったいあなたたちの味方だ

深更の真っ暗闇に

どうかするとチッ、と鳴いたりして

また深い暗闇に閉ざされる


あゝ、心底平和になって欲しいと思ふ

蝉───

終戦の年に

夏雲の下で

日本国中で鳴いてゐたものだから

だから、

日本人はそれを忘れない


倉石智證