家長の心配とは

実際家族のことではなく

このオドラデクがいつまでもつかといふことである

いつしか、いつの間にか

擦り減ってゆく

営業を続けない限りは減価償却できない

糸は長い年月にほつれほれつて

しかし、まだ元はとっていないのだ


オドラデクは玄関にゐる

オドラデクは不意と階段の下にゐる

ヨーゼフ・Kではないが

オドラデクは銀行にゆくカバンの中にでもゐて

そして、大事な時に限って

他意なく、くすりと含み笑いをする

困ったものである


そこで、私以外の家族が出掛けた時に

乗り合わせたバスの中でもいいのだが

手すりにつかまって、

(と、私は想像するしかできないのだが)

娘の思いがけない成長のみが希望のやうなものになる


倉石智證