■久里洋二「インキの瓶から花」
(絵は語る) ボクはおっちょこちょいなのか、インキをこぼすのだ。
もっと下さい
もっと愛を下さい
たぶんもっと言葉を
真実を
いいえ、そのまへにもっと嘘を下さい
身が軽くなるやうな
嘘を、寒くなるやうな
いや、顔が真っ赤になるやうな嘘でもいいのです
酔ゑるのならあるこほるもよいのですね
心底願っています。いつも酔はむことを
四六時中
だからもっと下さい
それにもっと眠りを
ねたいのです
横になりたいのです
いいえ、無理なのは承知しています
この際、だから立って眠る
だからもっと睡眠を下さい
いいえ、眠るためには栄養が必要です
もっと栄養を下さい
ピンクの肝臓が寝ないで働いてます
なんでもいいのですよ
夢ならば
眠りから覚めないのなら
あゝ、ようやく脚に細かい根が生えて来た
インク壺が倒れ
足元にインクが小さな池のやうに溜った
沁み入るやうに嬉しい
今では
花になったぼくたちの顔がゆれ合い歌い合います
倉石智證
