「亭主の好きな赤烏帽子」

■久里洋二さん「夏の湖水」

(絵は語る)まだ夏には早いが・・・

海坊主が海から山に上がったらかうなった

幸せになりたい

さんざん泣いた涙が湖になって

ボートを浮かべる

雲と同じくらい白い帆をたてゝ湖と雲を横切った


悲しいオノマトペに乗ってしまったのね

「イケイケドンドン」

放射能が海に流れ出すと

責任感の強い海坊主は

膨れて、ふくれて、脹れて

さうして、或る日

ざばりと海からあがると山に上がったのだ


岸辺の変哲もないホテルには

正直な老人夫婦が住む

さうして、じっと待ってゐる

海と山と川と森と

そして、世界が仲良く平和になってくれることを

真剣に待ってゐる