痛いの、痛いの、とんでけー

って、

いったいどこまでとんでいったのでせうね


すってんころりんで

ひざから血がでている

かあさんは艾もぐさを唾つけてもんでひざにすりつける

眼に芥ごみが入ったよー

って、泣けば

どおれ、って

目ん玉をなめてくれる


ざらりとしたおおきなあったかい舌だ

かあさんの舌は鼻くそでもなんでもなめてくれて

牛んぼのやうなやはらかい舌だ

ずいぶんしょっぱかったんだらうな


かあさんの泪───

いたいの、いたいのとんでけーって

いったいどこまでとんでったんだらう


倉石智證