「亭主の好きな赤烏帽子」

■久里洋二「夜の太陽」

雪うさぎがゆきます

しろくしろく

雪のお山をこへて

いくつもの雪の丘をこへて

雪うさぎがゆきます

赤い眸々めめして

ふりかへりふりかへりしてぴょこたん、ぴょこたんと


丘のうへの冬樹

凍てついて根方に

小さきあてどなき子らが居て

ねぐら


ふっと、すべてのお山に雪しまきが過ぎて

そして、ほんたうの静寂がおとずれます

息するものとてない

眸を耿耿かうかうと見開いて

神様の意思を仰ぐのです


眠りなさいと

そのとき雪のお山には

まるでお月さまなのか、

まるでおてんとうさまなのかわからない

たしかに真ん丸なものが静かに

安心なさいよとしずかに

お山のてっぺんの上にかかるのです


倉石智證