ぼくのあそこ知らない ?
あそこって、どこなのさ ?
あそこって、ほら、忘れて来たどこかなのさ
右腕をめくってね
上腕ニトウキン、そこのやや右側の皮膚を捲めくるとね
時計の針がコッチ、コチと動いてゐる
たくさんな小人たちが働いてゐて
やあ、それは壮観なゼンマイ仕掛けなのさ
ぼくのあそこ知らないって
たとへば裸の胸、なんかさ
古い雑誌のページみたいにこれもまた捲って
青い空や雲を探してみたい
ぼくのあそこって・・・
こどもはみんなおちんちんとかうんちとか好きだね
玩具を放り出して
ぼくの臀部のカーブにそって
そそくさと脊椎の湾曲を登る
延髄の端に脳幹があって
セロトニンを手渡される
線条体から脳下垂体に降りると
やあ、広大な海はもう少しだ
海馬の隣には三半規管もあって
むかし、ある人が云って
あなたのなかに海があると
三半規管に立つと
まるで甲板のうえにゐるやうで
右に左に傾ぐ
まるで落ち着かない
それで、ぼくのあそこ知らないって
体のあちこちを抓つねったり開いたりしてみると
開いた扉からはポーンポーンといろんな音楽や色んな色彩が飛び出てくる
それでもぼくのあそこって知らない
て云ふとみんな知らないって云ふので
ぼくの股座またぐらから線路を曳いて
ぼくはその電車に乗って三陸の方まで行って
ぶぅおー、ぶぅおーってもう海に向かって叫んでみる
倉石智證