すごすごととてもつらい日

「鬼は外」───

花粉クシュクシュ

鰯の頭、柊ひいらぎに刺され

豆撒かれ、

豆、かぶろたちに打ち撒かれ

はうはうの体で

また、山にゾ逃げ帰る


背には塵芥ちりあくた、災厄の無数を引き連れて

あゝ、たれが考えたか

心底、鬼の目に涙


さうして、柊の棘の向かうに陽が射し

蠟梅が馥郁と芳香を漂わせ始めるころ

鬼は人の心の中からすっかりと忘れられ

洗いざらいにされたやうな空に

春がやっとやって来るのだった


倉石智證