12,12/20

黒髪をほどけゆけば必ず

1000年も、万年もの前の死者たちを呼び起こさうとするだらう

手招く

昼夜を分かたず、愛戯やまず

病む袖の下、振り仰ぎ

ささらうねり

踊る声破れ

ハタと手を打つ

闇夜に塗り込められる

固く結ばれた指の

祈り

唇がかすかに動き

時を返せと

呪文するのだ


鉾が立てられ

銅戈どうか

杉葉紋の細かい文様があやしく煌く

女陰ほとを川面に広げ

ほとは灼けた鉾を拾いぬ

みごもりて

はたて、身罷みまかりぬ

死者の生者の指の腹をさすり

川の石を選りすぐれば

それが緑輝く勾玉

生者の胎内に宿る胎児の眼をつぶる形象とはなりぬ

忘らゑなくに

人の、櫛は黒髪がほどけ

投げ出されて

ただそこにある

また長い夜を待つのだ


故に

しるべせよ、

しるべせよと

みな漕ぎ出だして還って来ない

手を引っつかみあれほど

ふすべの内に熱が籠もり

愛戯止む事もなく

時の塵が肩辺に積もり

一葉が口に落ち来るころ

何事もなかった如くに立ちて

長い階きざはしをしずしずと行く

月のものがぽとぽとと落ちて

階の上で祈る

あまつ神の

あれほどに

あまつ空なる人を恋ふのだ

恋ひせよと


倉石智證

「愛、ないしは恋」


夕ぐれは雲のはたてに物ぞ思ふあまつ空なる人を恋ふとて

『古今和歌集』(読人知らず)。

朔太郎は「旗手」と読む。

胸騒ぎがするほどの恋の心だ。


わが恋はゆくへもしらずはてもなしあふを限りと思ふばかりぞ

『古今和歌集』凡河内躬恒


桐の葉もふみ分けがたくなりにけり必ず人を待つとならねど

『新古今和歌集』式子内親王


しるべせよ跡なきなみに漕ぐ舟の行方も知らぬ八重のしほ風

式子内親王。

朔太郎はこの歌を読むと、

恋人と海で情死したくなると云った友人がいると書いたが・・・


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12/20、日比谷公園の池に氷が。