食べるとか、飲むことだ

彼女が喉を開けるとき

ドルチェ

彼女の舌の色が非常に美しくあかく

それはゑも云はれぬ

彼女の眼の色に危険でなまめかしい眼差しが一瞬交錯する


地平を行く兵士たちの無数の鉄兜の

埃臭く

どよめき

いっそ彼女の豊満な臀部にのって

果てしなく行ってみようか

揺籃の地

なつかしく

ニューヨーク、ニューヨーク

そこへ降り立つ

地下鉄の銀色の音錆び

スターバックスに寄ってスプーンを一本立てゝみる

スプーンの頬笑み

その凹みの湾曲したカーブの

人恋しく

深々と秋が来る


彼女が喉を開けるとき、ドルチェ

この世のものとは思へぬやはらかな舌の

非常に危険に満ち

甘やかに、しのびやかに、ドルチェ

これは無伴奏の

歩けば、あと追いかけてくる枯れ葉の

いっそ、セレナーデ

あゝ、また恋に落ちる

深いワインレッドの漣さざなみ

わたしはどっちへ行こうか


倉石智證