帯を解く

ほのかに、身元の月明かり

月明かり、解く

黒檀の如、冷へゆく板の間に

闇の残りて

帯解く、

月明かりの仄かに


いてふの樹に

月明かり射す

鎮もりて

段、段、

蒼く、黄金の色に

月明かり解く

帯解く黄金色に

鎮もりて


床の間の板に冷へゆきて

帯解く、をとめの

月明かり射す、いてふの

凛と立つ

をろがみて、をろがむ

月明かりの仄かに帯解く

四囲に、

四方に


倉石智證

金色こんじきのちひさき鳥のかたちして

銀杏ちるなり夕日の岡に

(与謝野晶子)