「亭主の好きな赤烏帽子」


笑ひの五重塔が神の韻律を聞かせる

凍れる音楽だ

早々と清水のお寺ではライトアップされ

古き都はこの見事な紅葉の季節にみな身構へる


それぞれのお寺にはそれぞれり韻律が在って

冷たい板敷に座れば

もう直、

たとへやうもない寒さが膝がしらから腰のあたりに這いあがって来る

しかも、それがいやなどころか

神かけて気持ちいい


公孫樹の葉が黄金色に身をゆするころ

古い都では

神の笑いが五重塔を直登する

あの秋の韻律の甍の


倉石智證