「亭主の好きな赤烏帽子」

愛してるよ

って、ビルとビルの隙間から出て来た3人組

信号が青になった

トウカエデは未だ青々として

ブックオフには灯りがともる

オリジン弁当の前には自転車が止まり

少しの賑はひが幸せを分かち合ふ

折角その隣に新しくできたばっかりだと云ふのに

そのお店には誰もお客はゐない

Jazzのお店のスタンドには、けふの出演者の顔が笑ふ

こんなことが、あったりなかったりすることだが

みなが売り上げを伸ばすと云ふわけにもいかない


青い灯があって

赤い灯もある

今晩は歌舞伎町でミーティングだね

って、大きく笑って出掛ける人もゐる

まっすぐカウンターに座って

うふうふと

あいつは股座の付け根にリンパの腫れものが出来た

やれやれと云ふのに

子供たちは二丁目の公園のトイレの前で

ビルのガラスを相手に

皆して踊りまくってゐる

あゝ、そんなにまでしてけふの愛が欲しいのだ

オニイサンノチンチンリッパダネ

なんて笑はせるじゃないか


知らないうちに仔猫が、子猫を生んで

バーのカウンターの生花はピラカンサス

赤い色がいやだと云っても

捨て猫とネズミの繁殖はをさまらない

しかし、細い路地で轢かれるのはいつも子猫ばかりだ

歌舞伎町でミーチングだよ

かあちゃんに云はれたんだよ

あんたの体はあんたのものだから

あんたの好きにしていいんだよ

なこと云はれたって

おゝ、プレクサス&ネクサス

北回帰線&南回帰線

モーナはヘンリー・ミラーの恋人で

薬臭い病院に友達を見まいに行く

ところが、嗚呼


街は夜でも原色なんだ

愛と愛とに関する渇きがある限り

街は岡本太郎になって

激しく根拠なく、痙攣する

あいつが何処へ行ったなんて問ふ勿れ

焉んぞ、

この夜と朝との境なる

すでに我を忘れた午前零時においてをや乎


倉石智證