かくして秋は暮れる
トランプ占いのやうに夜が捲めくれる
いきなり上着の色が変わる
秋はトランプ占いの手の形に
手の中に入れて
さびさびと河原の石に秋は来る
誰も居ない古びた畳の部屋で
灯りを一つ点けて
河原で拾ってきた石を
手の中に入れて
手近に引き寄せて
石をなんだか並べてみる
石の影を数へ
石を数へる
すると、秋は水の色に
秋は空の色に
秋は、酌んだばかりの盃のうへにも
まことしやかに
秋は、さびさびと
秋はいそいそとやって来るのだ
倉石智證
つげ義春.
1937年東京生まれ。
65年頃から「ガロ」に作品を発表し始める。
つげの 作品はつげのものでしかない。
「ねじ式」1968年発表の短編。
あの強烈なインパクト。
安保世代とは切っても切れない時代のファンタジー。
でも、よく読みこめば
カフカばりの時代の不条理性が物語の底流に流れてゐる。
