山の供物

やはり、どんぐりころころドングリ子

山の供物

硬い橡の実

深山には猿もさはぐ

みんな腹いっぱい食ったか


深山に続く林道には

S37と云ふプレートが冷へた巌肌に嵌め込まれ

オオ、驚いたことにわたしが高2の頃のことだった

秋水が狭く険しい渓谷に落ちる音


山の供物、岩魚

山の供物、茸

人も細々と音なふ

山懐の山家に

客をあしらふとて、親子二人で

囲炉裏を切る

煤けた梁の下

山の供物はけふは

イワナ

夕餉にとて、

キノコを


倉石智證

昭和37年───、

日本ではこのやうなことが起こっていた。

《黒部ダム連接》

昭和31年7月、くろよん建設工事が始まった。

昭和 36年1月、1、2号発電機が、37年8月には3号発電機の運転を開始した。

そして、38年 6月、ついに黒部ダムが完成した。

着工以来7年の歳月を費やし、

延べ1,000万人の労働者が建設工事にたずさわった。