水汲みに行く
秋は、水汲みにゆく
乙女らは白き衣着て
朝な夕なに
裸足にて硬き道ゆく
蒼き山野辺
薄き雲ゆく
水の流れる
冷たき水を
いにしへは
「白埴の瓶こそよけれ霧ながら朝は冷たき」
水汲みにゆく
古き都の
甃いしのうへ
おりふしは、一筋の髪の
風に流れる
おとなひて、おとなふ
瓶に水汲む、冷たき水の
胸郭のゆへに顫へる
ゆるく激しく
秋なれば
埴の
冷たき汗の
口唇のただの一点に、紅を増し
倉石智證
白埴しらはにの瓶かめこそよけれ霧ながら朝はつめたき水くみにけり
長塚節の「鍼 の如く」の第一首である。