姉さんはいつも甘い匂いがして

スーパーにゆくと連れ立って

をさない僕を引き連れて行く

僕の手を握りしめ

野菜売り場や肉や魚の売り場を過ぎて

おおいそがしでアイスクリームのコーナーにゆく

それがぼくを喜ばすのだ

甘い甘い匂いがしてやたら、僕を混乱させる:


とうさんがふっと現われて

とうさんはこれが好きだよ、と云ふ

それで決まりになるのだ


姉さんはそれからさらに姉さんぶって

ぼくをキャンデー売り場や、ケーキ売り場へ連れて行く

姉さんの華奢な身体を包む夏のブラウス

姉さんは自慢げに私を連れて歩いたようだ


父さんは母さんがなにかと云ふのにもかかわらず

鷹揚に眼を細め

スーパーの端っこでそんな僕らを眺めていたようだった


倉石智證