蜩や、おまいの声はかなしかり

林の中に木魂して

耳、土骨にきこへくる


が呼べば吾が呼びかへす

吾が呼べば汝がよびかへす

潮騒のとほくちかくに

生まれ来て

また、消え去りて行く


声唱のきかまくものを

カナカナの耳に落ちくる

この邑むらにあをく暮れ行く

窓辺によりて

そはかなしかり

そを息つめて聞


倉石智證