待てど暮らせどに

ヴィオロンの音を添へれば

人待つ恋の歌にぞなれる

宵待ち草には少しはやけれど

夜はほてり昼はけだるい

かんざしを付けて

懐に黒き大き猫を抱いて

外国航路のあなたを待つわ

赤い絞りの襦袢を

恋しひといふあなたのために

しぼり出す


急ぐのですね

て云へば

その通りです

今宵満月

でも、抱月のゐない夜など何と冷たく

つまらない

わたしはゆくの

待つ宵草の


お話して云ふのはただそれだけなのね

ノラもゴーリキも今はいないわ

無骨な社会主義者がイテ

わたしの後のことはうまく

ただ、いまは急ぐのです

恋といふ大それた

一世一代のお芝居のため


恋せよ乙女

はかなげなため息

生き難き世に

革命ではなく、恋を

だから、わたしは・・・


倉石智證