お盆だとて
魂の通い路
やっぱり自分の家が一番落ち着くな
わずかな場所を掃いて
拭き清めて
みんなで車座になって
しかし、やけに風通しがいいじゃないか
風通しがいいわけだ.
津波が全部の壁を浚って行った
車座になって
ご馳走を広げる
どうだ、やっぱりうめえな
うまいやら、嬉しいやら、悲しいやら
もう涙が零れる
シズちゃんの顔は涙で泣き笑いに
風が外の夏草を揺する
風が外を清算してゆくが
私はまださっぱり清算出来ないでゐる
忘れるためにはどうしたらいい
浮子を見ているだけで十分さ
一日中何も考えなくていいんだもの
ハゼが釣れた
晩の御飯のおかずだ
薪ストーブの火を見ているだけで十分だ
思ひ出が次へとわいて来る
思ひ出はシングルモルトに
グラスに映る火の灯かりに
己の齢を静かに揺らす
何があったんだか分からない
仕事から完全に取り残されて
両手を広げると
両手の間はすっかり空っぽだ
はげしく夏草の生い茂れるを過ぎ
厳しい寒気をまたやり過ごしはしたが
気がつくと門柱に眼に見えない多くのモノドモが集まってきて
顎をがちがち鳴らす
生者と死者と
魂の通い路
真新しい電信柱の数が増えたが
デスクのまへで
わたしといふ謎が深まる
倉石智證
きょうもシュールに暮れて行く
杉戸の年の輪を見ている
燕も羽虫も同なじだ
畑の雑草は吶喊と声をあげて攻め上がり
ヨダカは天空を目指して翔天してゆく
夕焼けは真っ赤になるといいな
