昼顔が咲き終はったら
そろそろけふは、夏のお嬢さん───
帽子を被り、
上着を脱いで
伊勢丹あたりのペイブメントを闊歩してゆく
まるでセロリのやうなきゅっとした脚首だ
空が眩しい
車のフロントボディもリアも夏の日差しのシャワーが落ちて
まへに後ろに反射し輝く
どうぞ、お嬢さん
乗せてどこまでも走りに行きませうか
この時とばかりに
中央フリーウェイ
ビール工場を過ぎて歌を口ずさむ
山の緑がすぐに迫って来る
青春は青にやさしい
雲が湧き立ち
僕を鼓舞する
ワインディングロード
アクセルを踏む
夏のお嬢さん、髪が後ろにたなびき
耳朶のうす桃色に透けて
光透すよ
思い切り抱く
つかまえた、もう逃がさない
林床に舞ふ
木漏れ日が錯綜して無数に落ちてくる
そんな林の中に息絶え絶えになって
夏のお嬢さんを立たせ
真っ直ぐにピンで留める
ぼく一人のもの
そのくびれた胴をスッと抑えると
彼女はすぐに血の気を失ったかのやうになって身震いする
透明な翅を広げるのだ
昼顔が咲き終はったら
そろそろけふは、夏のお嬢さん
行かうよ、あの森の奥深くに
二人だけの秘密の場所に
ヴェールを後ろに閉ざし
二人だけの危険な遊び
ここでも緑の光りのシャワーを浴びて
ぼくはまちがいなく彼女を緑の林床の中に真っ直ぐに立たせ
ピンを撃つ
倉石智證
伊勢丹の三井住友銀行まで、通帳の繰り越し記帳にゆく。
ここいら辺りは全部、もう夏模様だ。
女の子たちは自信に満ち、姿勢よく、あらはに・・・