花に恥じらふ

花に含羞はにか


立てば芍薬、座れば呆丹

それにしてもあまりによく出来ている

花弁の一枚一枚を毟って

あゝ、食べてしまひたいほどだ


どこへゆけばいい

安心できるどこかへ

花に諂へつら

花に阿おもね

秘すれば花とぞ


初夏の風吹く

きみのまへに立ち

うしろより行く

縁側の奥深く

座敷に閉じ込めて


立てば芍薬、座れば呆丹

はらはらとそれは今に散る

それにしてもあまりによく出来ている

初夏の風とぞ


倉石智證

妻が芍薬を花瓶に活けた。

深紅色の芍薬だった。