世界は警鐘を鳴らし続けてゐる。

「身の丈に暮らせ」

「つましく生きよ」

王政のころより歳入欠陥は政府の抱えるいつだってのメーンテーマだ。

それが結果として最悪は戦争ということになって、

国民に多大な犠牲と経済的コストを強いた。


★民間部門(民間貯蓄-民間投資)+政府部門(税金-政府支出)=経常収支

★(民間部門)⇔【金融】⇔(政府部門)=経常収支

は簡単なマクロの公理である。

金融が民間部門と政府部門の両方に関わる。


今日の日経で米国の国防費の推移が示された。

米タルサ大学のロジャー・スターン助教によると、

77年から2011年までの中東での累計軍事費は9兆ドル(約720兆円)と全体の53%になった。

2001アフガンからイラク撤退までにかかった軍事投入費は=90兆円を上回ると云ふ。


「亭主の好きな赤烏帽子」

米国だけでなく、人類はどこか愚かしい。

世界理性はどうなってゐる。

“あらまほしき”が分かっていてもなかなか遅々としてそれに向かっていかない。


上のグラフと下の歳入欠陥は密接に関係する。

2001,9/11テロ

2001,10/7アフガンへ空爆開始

2000年、ITバブル崩壊

アフガンより景気低迷局面へ

2001と2003、「ブッシュ減税」

この間、マエストロ・グリーンスパンはものすごい勢いで政策金利を下げ続けた。

リーマン・ショックへの道のりはととのった。


「亭主の好きな赤烏帽子」

(経済時事12,5,15日経)

財政の崖fiscal cliff(バーナンキ議長)

「2013年1月タックスマゲドン(税の最終戦争)が」

01年から段階的に導入されたブッシュ減税は、

個人所得税率引き下げなどを柱とする総額2000億ドル(16兆円)の大規模パッケージ。

ブッシュ減税と同じく今年末が期限の

社会保障財源向けの給与(ペイロール)税の減税(約1000億ドル)や、

様々な税制優遇措置も軒並み失効。

13年1月からは年1100億ドル規模の歳出が強制的に削減。

ブッシュ政権は“ブッシュ減税”によって2兆㌦ほどの歳入欠陥を結果として政府にもたらしたと云ふ。

また、これからこれらが執行されると6000億㌦ほどのデフレが引き起こされるとも懸念されている。


英仏の100年戦争は云ふまでもなく、

王さまはいつだって戦争が大好きで、その都度国庫の中身は空っぽになった。

増税に頼るか、公債(借金)を発行するか。

公債を引き受けるブルジョワジーの台頭著しく、

英国では議会開設への道がいち早く開かれた。

公債のプレミアムがまだまだ重商主義をかかげるフランスルイ王朝に対してドンと下がった。

勝負あり、である。

以後、世界を遊弋する大ブリテンが100年ほどは続き、

金本位制をもととするポンドが基軸通貨になった。


南米の独裁者たちも戦争が大好きだった。

たちまち歳入欠陥になった。

デフォルトは国家を混乱に陥れる。

一般大衆はハイパーインフレにとことんいじめ抜かれる。


「亭主の好きな赤烏帽子」

Ben Shahn

「ラッキードラゴン」1960

ラッキードラゴンとは第五福竜丸のことである。

1954,3/16日、読売新聞は、

マグロ漁船第五福竜丸が太平洋のビキニ環礁近海を航行中、

米国の水爆実験に遭遇、「死の灰」を浴びて静岡県の焼津港に寄港したことをスクープした。

この事件で最初の犠牲者っなった無線長・久保山愛吉。

ベン・シャーンはこの事件を繰り返し描く。

この事件の少し前、

1953年12月8日、日本の真珠湾攻撃から12年後のこの日、

アイゼンハワー米大統領は国連総会演説で「原子力の平和利用」をうたい、

国際原子力機関(IAEA)の創設を提案した。

「Atoms for peace」


米国は戦争が好きだ。

ベトナム戦争は結局米国に双子の赤字をもたらし、

歳入欠陥によりニクソンは金本位制を投げ出すことを世界に告げた。

以降マネーは地べたの裏付けを離れ、変動相場制と共に、

マネーは金融商品へと変異していった。

たちまち、人々の欲望と結びついて激しく化学変化を起こしてゆく。

その色合いは人類がかって見たこともないような不思議な色合いで、

ときにドラッグのやうに人々の気分を混迷へといざなった。


ファイナンス理論では長期的には

株式などのリスク資産のリターンが、

リスクフリー資産のリターンを上回るとされている。

歴史を振り返れば、株式を社会のインフラとして整備した国は、

株式が存在しなかった国に比べ、

市民生活の質を高め、平均寿命を延ばしてきた事実がある。

ベルリンの壁崩壊はその象徴といえよう。

価値創造にチャレンジするリスクマネーとしての株式が、

新たな価値を創造し続けてきたからだ。

これを公理に当てはめて整理すると───

民間部門(リスク資産=株式など資本性)+政府部門(リスクフリー資産=国債)=経常収支

リスク(株式)をインフラとしてセットした国の方が相対的に豊かになってきたわけだ。

民間部門(効率性、生産性)、

政府部門(公平→分配

とも書きかえられそうだ。


政府部門(公平→分配や補助金)をシャットアウトして

民間部門(効率性、生産性)を解き放ったのがサッチャーさんだ。

少し遅れてレーガンさんが真似をした。

中曽根さんの場合は

政府部門(国鉄民営化)、である。

補助金が垂れ流され、組合は徒党を組んでサボタージュをし、非効率そのものの仕組みを、

“メザシの土光”さんが、解体してくれた。


クラウディングアウト───

政府部門(国債)と民間部門(資本性マネー)が資金を奪い合う。

政府はデフレギャップに独立支出をぶち込んで、結果、

GDPは1991くらいにまた戻ってしまった。

なぜか。

政府は当事者感覚(板子一枚下の)を持ち得ない。

政府は目利きではない。

政府は選挙である。

そして、昨今の世界のたいていの政府は

政府部門(財政民主主義=社会保障)に陥ってしまい、

身の丈を忘れ、いつでも大風呂敷を広げ、利益を先食いし、借金を先送りという、

慢性的歳入欠陥のコントロールの効かない憂鬱な状態になっているのである。


民間部門(生産=雇用)⇔【金融部門】⇔政府部門(税-政府支出)=経常収支・貿易
ギリシャ

民間部門(Tax evasion is the national pastime脱税は国民的娯楽)

【不良資産化・キャピタルフライト・信用収縮】

金融部門【郵便局で預金を受け付けるギリシャ大手銀ポストバンク】

資産の4分の1以上占めたギリシャ国債の元本が3月の国際支援に合わせて7割削減され、

→比較的厚いと自慢していた自己資本が吹き飛んでしまった

→債務超過の状態に陥ってゐると思われる。バランスシートの

「左」貸し渋り、貸しはがし

「右」預金(経営上の最大の懸念は資金調達だ)

①富裕層は外国の銀行に口座を移し

②一般庶民は賃金や年金の減少を補うために預金を下ろす

政府部門(収入より以上に支出していた)

政府部門(民営化が遅れる・国営資産売却)

スペイン

民間部門(失業)・・・これはギリシャも同じ

【不動産などの不良資産化】

政府部門(財政圧迫・税収←ヤミ就労やヤミ経済)

イタリア

民間部門(労働市場改革、解雇容認→外国企業の呼び込み)・・・モンティさん

●失業保険などの充実、男性の育児休暇など→労働参加率をどう高めるか

政府部門(財政規律)をしながら政府の独立支出(成長への)を確保する

ドイツ

民間部門(付加価値税を上げて→法人税を下げた)

政府部門(財政規律)

アイルランド

IMF、EU基準の支配下で、

民間部門(賃金カット、物価デフレに)・・・国際競争力

民間部門(法人税はもともと安い12.5%)・・・インテルなど外国企業

民間部門(辛抱強く、勤勉で、英語が堪能)

→経常黒字に早々と

→長期金利が下がり始めた


フランス

オランド新大統領

Hollande wins French election.

In the final round of voting,

Hollande was elected president of France.

His triumph was tempered(影響された)

by the still-fragile economic stuation in France.


「亭主の好きな赤烏帽子」

「亭主の好きな赤烏帽子」

・国営企業の改革はなし

・先生や警察官などの公務員の雇用を増やす

・政府部門(「増税」銀行や石油会社に新税創設、富裕層への課税強化)

・エネルギーは原発を減らす選択

・若者向けの住宅も新規建設することを公約

つまり、オランドさんの成長とは政府支出の増大と同じで、

民間に国営企業などの非効率を置いたまま、

公務員雇用増大などのポピュリズムの傾向が強いことが明確である。

選挙の支持層が労働組合がバックに。


ソーシャルといへば聞こえがいいが、

非常に反市場的な政策のオンパレードである。

フランスの単位労働コストはドイツの20%弱ほどに高いのださうだ。

「社会なんてない。あるのは個人と家庭だけだ」(サッチャーさん)

欧州のソーシャルとはあのころも労働者階層のこと、強力な組合組織で守られている。

「社会」というイメージには「みんなで」というイメージが重なる。

みんなで幸せになる。

みんなで不幸になる。

格差全廃になれば共産主義イデオロギーにたどり着く。

個人と家庭というのは1人当たりのGDPというイメージである。

名目所得のことである。

名目稼ぎはその時代の

・労働参加率(人口動態つまり人口減少or増大要因か、人口構成要因による)

・労働生産性

に単純には支配される。

名目稼ぎが世間と世俗(個人の生活の水準)を作り出すのだ。


オランドさんを分解すると

資本に比重を置いた社会を、

企業を起点として、その分配を労働者と資本に分配しなおすことを公約とする。

民間部門(労働者←企業→資本)

そのためには企業の

・解雇費用を上げて株主配当を引き下げるようにする。
・ストックオプションを禁止して経営者報酬に制限を(労働者との賃金報酬格差を20分の1以内に)

「一人だけではなくみんなで幸せに」

→労働者の所得増→消費増

→資本投下を増やし有効需要を

つまり民間部門(成長)である。


【金融部門】は、

・実体経済への貢献を求め、本来業務と投機行為を分離、

・租税回避地の利用を禁止

・金融取引税などの課税強化

要するに資本レバレッジに手を貸すな、手を出すな、

清く正しい信用創造を目指せ、ということになる。

実体を叩く、マネー資本主義の訂正である。


民間部門(企業行動)←実需の成長に投資を【投機的ではなく信用創造に】

さてここで企業はと云うと、その設備投資は

・在庫

・心理

・期待収益

・グローバル競争

など、あらゆる不確実性にさらされているのが現実だ。

お上はかってに

・資本の肥大を正せ

・金融は真面目に信用創造に手を貸せ

と云っても(どちらかと云うと規制強化)、

企業の合理的経済行動に資するかどうかは不明である。

企業の「借りる」という行為のみが

“新しいマネー”を増やすことになる。

世の中に“新しいマネー”が増えない限り、

景気が良くなったという実感にはならないだらう。

実態はと云うと、米国も、日本も、欧州も

政府も中銀も笛を吹き、太鼓を打ち鳴らすけれど、

銀行セクターの庭先から、さらに企業の設備投資へとマネーはなかなかにじみださず、

ブタ積みにされたマネーは国債に投入されるという循環になっているのだ。

貸し出しがない・・・

→国債購入へ(利回りが)

→社債

→株式

→不動産

・・・

→デリバティブ商品へ(オプション、CDO、CDS)

債務担保証券(Collateralized Debt Obligation)

政府部門(税-政府支出)は、

・富裕層へ課税強化

・大企業への税制優遇を見直す

・石油や銀行関連は課税強化

と税収を担保して

政府支出は今後5年間で200億ユーロ増やす。

政府部門(国営企業は維持)

政府部門(公務員雇用拡大)

政府部門(年金給付は60歳に引き下げ)

政府部門(若年層への住宅供給補助)

政府部門(原発抑制の方向→企業圧迫、政府支出の増大)

・・・

税収と政府支出のバランスというが、

問題はこの政府の独立支出が正しく有効需要に結びつくかどうか、である。


民間部門(貯蓄-投資)+政府部門(税-政府支出)から有効需要がどのくらい生まれるか。

経済の乗数効果がどのくらい産出されるか。


民間部門(貯蓄-投資)と政府部門(税-政府支出)の余った部分が→経常収支

経常収支は貿易などによってもたらされる。

・比較優位

・産業構造

・単位労働生産性

・労働参加率(移民の問題も)

・為替ユーロ

・FTAやEPA

などによる。

経常収支の黒字は自国の国債発行の健全性の基礎になることは云うまでもない。


President Hollandeさんは金融資本主義のアングロサクソンスタイルを訂正し、

フランコ・ジャーマンモデルの新しい資本主義を打ち立てることができるのか(12,5/19「大機小機」)


アメリカ

・分配と正義、

・効率と自己責任、に引き裂かれている。

オバマさんの手法(分配と正義ばかりではないが)と、ロムニーさんの手法の

どちらが有効需要をたくさん引き出せるかどうか。


倉石智證