ふる里にゆけば古里の春にあへるよ
水ぬるむ、紫雲英げんげが咲いて
初燕
遠田のかはづ天をゆるがす
ふる里にゆけば古里の夏にあへるよ
稲穂波、ホップの香り
土鳩啼く
蛍飛び交う蚊帳の中まで
ふる里にゆけば古里の秋にあへるよ
黄金さし、神社の幟
蚯蚓みみず啼く
ケラ啼くそれに蓑虫も鳴く
ふる里にゆけば古里の冬にあへるよ
悴んで手をかざし合ふ
あかあかと
どの戸も叩く雪の音だよ
春には一本の桜の木に集まり
夏には盥に瓜を冷やし
秋には真っ赤な林檎を収穫し
冬には木守りの柿が雪の衣を被る
古里に行けばみんなにあへる
一年が廻り、また一年が来る
その時はドアの外に立ち
お見送りする
きっとだよ、きっとだよ
といふ声がする
倉石智證
再会を約して三々五々別れる。