少女らは髪を切るらし春なれば
うれしきことの胸に、お指に
坂下る柳芽吹きて
暈くもりゆく
霞はさらに
笑みさそひゆく
少女らは髪を切るらし
新しき紅唇に
肩を左に腰高く行くよ
燕翔ぶ春を誘ひぬ
ゆへもなく街の真中に
飛び交ひつ柳潜れば
恋のひとつも
あゝ、春は
しゃなりしゃなりと腰高く
右肩をゆく
ゆへもなく男友達
誘ひ出す
銀座の柳
あゝ、これはこれは
はるなればこそ
ハイヒール高きを踏みて
ペイヴメントをわざとわざとに
媼おうならも髪を切るらし
負けじとぞ
恋は昔の
なつかしき花は柳に
まつこそは心そはそは
若きらに負けるものかは
誘ひ出すシネマ、デパート
あゝ、銀座真知子ス日比谷
次は何とす
こころときめき
sodaのつひまちがひの
cofeeのまあ落ち着けと
timeじゃんけん
少女らは髪を切るらし
媼らも負けじとばかり
腰に手を、ターン鏡に
巫山戯ふざけみる、あれやこれやと
待ち切れず、さあ、街に出む,
春なればこそ
みな女ひとの明るき色の
身にまとひつゝ
待て少し男友達
わたしが先に
腰高くわたしが行くわ
春なればこそ
倉石智證
娘が最初に髪をカットしてきた、と思ったら、
次に妻が髪を切りに出かけた、
帰って来たと思ったら、
髪を切って染め上げてきた息子のガールフレンドが現れた。
上野の森は三分咲き、
午後からは春の嵐が、
さあ、いそげいそげ・・・