ライラックを横目に過ぎて郵便局に行く

ふふふふゝ

白木蓮が咲いた

つんつんと欹そばだてる

真っ白な帆のやうになって空に浮かぶ

きれいだなぁ


かたへに蠟梅がくたびれてゐる

おほかたの春の先駆けのおしごとがおはり

すっかり萎れかけて

まるで季節外れの破やれ蝶のやうだ

花は静かに黄を透かせ

息を引きとるばかり

おゝ、ところがどうだ

萎れゆく花のかたへかたへに

無数の芽吹きが膨らみはじめているではないか

硬い冬枝の皮膚を破って

緑と緑が詩ふ


ライラックを横目に過ぎて郵便局に行く

ライラックの芽吹きはまだほんのわずかだ

つんつん白木蓮の帆が青空に浮かみ

蠟梅の黄は静かに冷へてほほ笑む

気が付けば春はぐるりと巡り

わたしは驚いて帽子をとって

うやうやしくお辞儀をする


ライラックを過ぎて郵便局に行く

この道を往きてけふは

この道をかへるけふは


倉石智證

おひるすぎてもお空は真っ青に晴れていた。

しかし、夕近くなって急に風が吹きはじめ、雨粒が横に降った。

簡易傘が斜めになる。

これもいきなりなので驚いた。