坂の上の雲の坂下人の雲
便器に手を当てあなたは「誓いますか」
て云ふから
誓いますと、わたしは思はず云った
便器はなに色がいいかね
Please inform the station stuff or train crew immediately
if you notice any suspicious unclaimed objects or persons
in the train or on the station .
さすがに便器の方までは探さなかったね
ありがたい
ここは実に落ち着く
座ってみる
お尻を出してだ
丸い緩やかなカーブにお尻の丸みがピッ足し当てはまる
アリスのやうに
兎の洞まで落ち込む心配もなささうだ
家の中で一番落ち着くものだから
本をいっぱい持ちこんで
挙句、
コーヒーまで持ちこんでゆるらかに休憩する
瞑想すれば
いちとにとさん
すべて都市に現れているものは意志の表象であるからして
だから便器は丸いのだ
いや、便器だけではなく
たいていの人間に近いものはどうやら隅を減らし
まぁるくカーブを描くのがあれらしい
あれだ,
ああ、気持ちがいい
誰も入れない
誰も呼ばない
そんなとこで
坂のうへには
坂の下もあることを思ひ出した
愛を求めたいのだ、この便器に
究極の愛を求めたい
逃げたり、惑ふことのない
殺したり、殺されたりしない
騙したら、だましたままの
愛が欲しいのだ
抓るくらいは許そう
でも激しい殴打はだめだよ
まして襤褸雑巾のやうになった愛の蛻を窓の外に放り出すやうなことなんて
やさしくしてちゃうだい
このまぁるくカーブを描いた便器のやうに
信仰がそこに集まり
ほどよくお尻を温めてくれる
安心するのだよ
右手にbook
左手にcoffee
いけないわ、ルージュマジック
わたしは貨幣を考える
幾たびも忘れやうとしても
どうも脳髄にせり上がって来るからだ
ルージュマジック
双曲線が見事にx軸とy軸に沿って
マネー選好だって
誰だ、人間に欲望を与えたのは
あなたは神ですか
とたずねたら
それはお前が云ったことだと
ヨブは最後に救われることになるが
おお、なんとヨブに与えられた課題はその都度深刻で
なんと、ダメージが大きいものなのか
契約と云ふ
労働と云ふ
どうもあそこらへんからやって来たものらしい
フードを深く被り
顔すら分からない
福音を説く穏やかな丘のうへの人の
光が後ろからあなたを隠す
ところがひとつ夜になると
おお、いきなり孤独に追い落とすのだ
冷酷な
その青白い手は全く生きた心地もしない
よせよと、振り払うが
グリードといふ熱情が
最後に寝所におまへをいざなふ
安くしておくよ
今がたったのチャンスなんだから
いくじなしめ
からかはれ、笑はれて
こっぴどく
深情けだね
もうとことん
息つくしまもなく
息もたへだへに
やっと、ほうほうの体でここに逃げ込んだ
Please inform the station stuff or train crew immediately
if you notice any suspicious unclaimed objects or persons
in the train or on the station.
ここなら安心だ
胸をなでおろし
できるだけ冷静になって反芻する
世界はすべて意志の表象なのだから
あなたは誓いますか
と云ふから
私はこの好ましい便器に手を当て
わたしはあなたが察するやうな
any suspicious unclaimed objectsじゃなくて
只の思考です
決してあやしいモノじゃありません
スポンをたくし上げながらベルトに手を
不可ないわ、ルージュマジック
と云ったら
すべてが反転
早く出てよ、と
トイレを急かされた
倉石智證
家族のなかでの行ったり来たりのサービスはたいていは無料だ。
坂の上を駆け上って行ったのは正岡子規や、好古や、真之など秋山兄弟の
ある種の明治の若々しい楽天が坂の上の雲を目指して駆け上がって行ったものだが、
国家の厳しい枠組みを作ろうとしていた者に山形有朋などがいた。
1900年に義和団事件が起こり、
日本は東洋の片隅から世界の列強の一員としてデビューする。
片方に富国強兵と殖産興業を概念とする明治国家があり、
脱亜入欧、和魂洋才が日本国のテーマになった。
激しい文明化が足尾銅山鉱害を引き起こし、
田中正造は明治天皇に直訴する。
山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さないのを
真の文明と呼ぶ・・・
紀の国、和歌山では褌姿の熊楠が折からの神社合祀令に反対と立ち上がる。
戦争反対者は大逆事件のなかにもいた。
幸徳秋水は寒気きわまる1911年の正月、市ヶ谷刑務所で処刑される。
かって国家がこれほど厳しい相貌で国民にのしかかって来たことは無かった。
坂の上の雲の坂下には大勢の無名の庶民がいて、
日々のささやかな暮らしの中から徴税され、また徴兵され戦場へと駆り出される。
1904年に高橋是清が米国を巡ってから、英国に起債に行く。
もとより戦はおカネでするものだからである。
薄氷の戦いはすでに日露戦争を開戦した当初から始まっていたのだ。
国家が成り立つには文明が必要である。
文明の根幹には資本主義が組み込まれる。
マネーにより調達され、石油や石炭などのエネルギーによって鉄が生産され、
軍艦や砲弾になった。
大きい独占資本が国家と結びついて帝国主義の様相となって各国は植民地主義となって、
地球を分割していった。
「この文明は不道徳です」
と云ったのはマハトマ・ガンジー。
痩せた体で糸車を曳いていた。
(「 マハートマー(महात्मा)」とは「偉大なる魂」)
マネーに対する感性は
A・スミス、石田梅岩、二宮尊徳、岩崎弥太郎、M・ヴェーバー、高橋是清・・・
とその都度微妙に変わって来たが、
資本主義の根幹、経済の基盤となるマネーに関して高橋是清は、
(以下web伊勢雅臣)
日銀、大蔵省と長らく金融・財政畑を歩んだ是清だったが、
金のみがすべてであるという世相を批判して、こう述べている。
元来、米国人が金銭を尊ぶのは、私の見るところによれば、
金銭それ自体を尊ぶというのではなく、
かの民族特有の、きわめて強い個人的独立心からきているもののように思われる。
この点に十分注意してもらいたい。
・・・友人や知己をたずねて、困るから何とかしれくれないか、とすがりつくが如きが、
人間一生の大恥辱となっているから、決してそんなことはしない。
どうしても、自分の始末は、自分一個の腕でやっていかねばならぬ。
蓄財の目的は、金を貯める事自体ではなく、
独立心を磨き、一身、ひいては、
国民全体の品性を高めるにある、
と是清は説いた。
そのような品性と独立心とを、日露戦争を戦った頃の日本と、
その資金調達を支えた是清は豊かに持っていた。
信なくば立たず───
である。
商人道とは根本に厳しい倫理観がある。
倫理を守らない限り市場から排除されるからである。
道徳観とはこのようにものをやり取りする、
経済の原初のモノの交換から始まって、
利他に行きついたのではないだらうか。
西洋ではしかし、神はヨブを激しく罰するのだ。
まるで労働が原初の罰であるかのやうに。
家族の中でのやり取りはどうも資本主義ではないらしい。
そしてこの方も、
マネーを個人の為に稼ぐ、という関心から外れてゐると云ふ意味で資本主義的ではない。
8000メートル級の高峰の頂を目指して自らカメラを回し、
インターネットで生中継するのが栗城史多の登山のハイライトシーン。
「ハー、ハー、フーッ。氷がすごいです。危険ですねえ」
「迷いました。ああ、チキショー」
ビデオを回して、単独登頂。
なんだか、めきめきとすごいですねぇ。
登山家 栗城史多くりきのぶかず(29歳)
