エロティックな序章
愛は大事だ
その形
ピーマンの色合いやつや
大根もときにはだが
やはり重ねてみる愉しみは瓜に如くものは思いつかない
瓜もむかしながらのマクワ瓜
畑に放らかされて
何だったのだらうね、あれは
金時はどうする
さっくりと割られると
湯気がほっくほくとたって
黄金色の甘みはすでに垂涎
秋になった
栗の実は
実際、よくできたものだ
いがいがの中に鎮座ましまして落ち着いている
出して出してとせがむのだ
手のひらに採るとつるり
栗色に媚を売る
年がら年中
冷えたサラダはいいよ
真っ赤なトマトは欠かせない
最近は緑と薄緑のアボガドも
妻はどうしてもとオリーブの実を
忘れていた
ズッキーニのあの呑びりしたカーブも素敵だ
さあ食べて食べて、とくる
さあ、呑んで飲んで、とくる
あきれたねへ、口いっぱいに頬張って
スプーンの企み
うち重なって笑みを洩らす
ちょいと流し眼
ちょいとエロティック
咀嚼する
もう待ちきれない
唇を閉じたり開いたり
そうかと思ふと脚を組みかえたり
いったい誰にそんなことを教わったのだらう
やだねへおまいさん、とくる
呑気ではあるが謎を解けと
桃色の赤ちゃん
家族っていいね
りっぱなうんちをしたよ
雲のやうなおっきな生あったかいうんちを
するがよからうと
云いならはされて来たんだ
古びた大きなテーブルを囲んで
ワインのしみがあちこちについてゐる
さあ、と云ふ
まあまあ、と云ふ
ここでもどっしりと落ち着いた妻が云ふ
お昼ごはんはお饂飩がいい、パエリアがいい
お饂飩はエロウチック
その腰の強さ
その出汁のからまった色つやも
苦いコメも貝に収まれば甘くエロウティックに
サフランの色に
自由だ
桃色の雲がわく
ワイングラスの不思議なカーブ
あかんぼうもご機嫌がいい
サラダは山盛りだ
やだね、いったい誰におそわったんだらうね
咀嚼する
喉が傾きつつ鳥のやうに伸びて
愛らしい
なぞを解けと
云いならはされて来たんだ
眼を閉じて、唇が開いたり閉じたりする
その中のぽっかりとした空洞
謎を解けと
父はふいとテーブルを立って
みんなを見て笑みを漏らす
ひとり庭先に出れば
空に桃色の雲がわき
家族っていいな
瓢箪が風に吹かれてへうへうと
やはりこれはこれにまさるものはあるまいて
謎を解けと、どこからともなく
エロウティック
雲が湧き
倉石智證
生殖(11,9,28日経)
自己の遺伝子をつなぐためのセックスは、
オスとメスの利害得失をとことんまで突き詰めて、
涙ぐましいどころか、人類の倫理観なんてクソくらえ、という領域にまで達している。
フリーセックスもボーイズラブも、人類が発明する何万年も前から、
地球上のあちらこちらで繰り広げられてきたのだ。
■アメフラシは連日、化学物質の影響で不特定多数と交尾に明け暮れる。
ゾウムシの仲間は1回の交尾で自分の体重の1割もの精液
(人間なら7~8キログラム!)をぶちまける。
愛のことについて語ろうとすれば、
愛は本当にむつかしい。
雲のことを語ろうとすれば、
雲は本当に自由だ。