11,7/14(木)晴れ
☆重ね前人未到果たしつゝかひな一本、一本どっこ
魁皇が今日、1046勝。
38歳とかや(千秋楽の24日に39歳となる関取最年長の魁皇)。
つむも薄くなった。
満身創痍である。
「一緒に相撲がとれて光栄です」と白鵬は魁皇をほめ称えた。
「八文で家内が祝ふ氷かな」(一茶)
ふたたびを逢はざるままに山若葉(小野鹿角男)
フクシマの桃おいしいぞ泣けるほど(肥田野由美)
六月やアンポの時を知る者の(江木明美)
四畳半一間離るる帰省かな(岩崎美範)
11,7/17(日)晴れ
広田湾牡蠣の筏のきらきらと夢を頼りに海に出るのさ
陸前高田。
広田湾の猟師たち。
すべてを失ったが牡蠣の養殖に向かって木を切り出し、筏作りを。
夏草の吶喊の声鎌を手に
瓜食むで手を洗ひをる夕こころ
やれやれ今日もようやく百姓が終わった。
「日経日曜俳壇・歌壇」
水に入る姿を枝に蛇の衣(小井川知子)
兄の背を追いかけし日々夏帽子(梅渓由美子)
この町を出る術なしサングラス(高橋善和)
夏祭り西瓜をくれし不良かな(浅賀信太郎)
くぐりての後の茅の輪に光満つ(増山ちさ)
御仏の桃とすすりていただきぬ(笠野信子)
レディ・ガガ口紅付けしティーカップ(山根繁義)
「復興を祈る」と手書きしてある。
眼に見えぬ放射能ありひたひたと黒揚羽飛ぶ生の輪郭(内野修)
剥き出しの岸辺に佇てば一群のいちはつ避よけて銃器並びぬ(須藤徹郎)
豆ほどの蝸牛まひまひ一つころげ落ち朝採りレタス土の香匂ふ(増田テルヨ)
11,7/20(水)晴れ
夏の魚いを子どもはくっと手でつかみ
海で曳く網にも、簗の上でも、子供たちは大喜びで魚を手づかみにする。
歓声が上がる。
ちっちゃい時は加減が分からないから強く握り過ぎて
時に内臓が壊れて出ちゃうときもあった。
海に出て海のまなざしひとしなみ
人間のさまざまな生き方にひとしなみにまなざしを向けた。
なでしこの勝ってひまわりの咲きぬ
なでしこジャパン、淡々と平静に、明朗に、みんな明るい気負いもなく。
花はなんでも花である。
親しくさせていただいている富良野からメロンが届いた。
玄関に富良野の涼風がさっと吹き抜ける。
涼しさやメロンは北の大地かな
人情の箱ごと届く暑中かな
メロンあれば恙なきやと北のひと
帰省子もはや五十路きくお盆かな
昔は大学生だった彼も、今では50歳を過ぎてしまった。
富良野のご両親は年老いて、それなのにまだまだ親孝行しているとはいへない。
豆の花じゃが芋の花畝の花
メロン撫でて人懐かしき笑顔かな
メロンメロンその滴るを匙で食ぶ
海の水溜まりしまゝにプールかな南三陸夏の雲湧く
潮溜まりは昔かにんッ河野子どもたちの遊び場となる。
幌かけて師団の人の去りてゆく幌に夕陽の翳りゆくかな
物資の支援、配送、入浴、治安・・・
手厚い支援が自治体の自立の妨げになる。
岩手大槌町、釜石───
父性が突然去り、母性が揺らぐ。
坂口安吾「黒谷村」(1931発表)──
谷風に送られて縹渺と喘ぐことを、凡太はむしろ好んでいた。
叔母と姉が松之山の旧家「村山家」に続けて嫁したことで、
安吾は20代のころによく松之山にやって来た。
近くには宿が1軒だけの兎口(うさぎくち)温泉、
さらに下に降りれば松之山温泉
「夏が来て、あのうらうらと浮く綿のような雲を見ると、
山岳へ浸らずにはいられない」
漂泊の思ひ、である。
分け入っても分け入っても青い山
───は山頭火であった。
そこばくの羽根風に立ち羽抜鶏(奥坂まや)
蝶ヶ岳に登った。
山のリポートはまた後ほど。
登山の句を少々。
りんだうの高嶺にあれば秋ふゝみ
来し方の谷をし見れば谷深く嶺立ちてゆく縹はなだ色なり
缶ビールさはさりながら夏の雲
涼風や雲の上からこんにちは
尾根風や青嶺はとほく雲見立ち
夏雲や風爽颯々青嶺吹く
季重ね、だらけになった。
11,7/23(土)晴れ
石段を上りて神馬おめし奉納す豊作祈願三廻りをする
人と馬が一緒に急な階段を上り豊作などを祈る伝統の儀式が、
千葉県君津市の神社で行われました。
これは君津市の人見神社に350年以上前から伝わるとされる伝統の儀式です。
今年はこんなことがありましたから・・・」
“しんめ”ではなく“おめし”と云ふのださうだ。
23(土)晴れNHKニュース
「ノルウェー」
地の揺らぎ人の心のゆらぎかなオスロ大地の血の狂気する
ノルウェーの首都オスロとその北西にあるウトヤ島で22日、連続テロ事件が発生。
乱射現場(90人以上の犠牲者)で逮捕されたアンネシュ・ブレイビク容疑者(32)は
数日前、ネット上で自らの顔写真とともに
「信念をもった1人の人間は利益しか考えない10万人の力に等しい」
と発信。
地元メディアは同容疑者を「キリスト教原理主義者」と伝え、
犯行に極右組織の関与を疑う見方もある。
域内移動の自由が定められた欧州は、暮らしやすい国を求める人の往来が盛ん。
しかし、金融危機後の景気低迷で失業者が増えるのに合わせ、
移民排斥の声が目立ち始めた。
「わが国にとって悪夢であり悲劇。これほどの被害は第2次世界大戦以来だ」
ストルテンベルグ首相
「息子は自殺するべきだった」
と父親はインタビューで(11,7/26ニュースで)
■北大西洋条約機構(NATO)に加盟するノルウェーは
対リビア政府軍攻撃に参加し、アフガニスタンに派兵している。
■首都オスロではノーベル平和賞の授賞式が開かれる。
国連開発計画(UNDP)がまとめた10年版「人間開発報告書」では、
国民生活の豊かさを示す指数で首位。
欧州連合(EU)には加盟していない。
2011,7,25
ノルウェーの首都オスロの爆弾テロと
郊外の南部ウトヤ島での銃乱射事件で逮捕されたアンネシュ・ブレイビク容疑者(32)
「非道だが、自分の中では必要なことだったと思っている」
(弁護士が明らかに)。
同容疑者は爆弾の製造過程などを記した約1500ページに上る文書を
犯行直前にインターネットに掲載、
「爆弾作りに約80日かかった」と告白。
文書によると、少なくとも2009年秋からテロを計画、
入念に準備を重ねてきたことをうかがわせた。
世界は格差や、新しい貧困や、閉じこもりなど、
いろいろな意味で原理主義者たちが生まれやすい培養が出来つつある。
ぬれ衣を干さうともせず子供らの云ふがまにまに果てし君かな(勝海舟)
西郷隆盛のことを勝海舟は詠った。
西郷隆盛は原理主義者であったか。
相対主義者であった勝海舟はなぜ西郷をあのやうにかばったのか。
同じ相対主義者であっても海舟は福沢諭吉のことは歯牙にもかけなかった。
諭吉は少なくとも命というものに対して最後まで臆病で逃げ腰だったからだ。
前者の人たちはもののふの「恥」というものを骨身にしみて知っていたからだ。
維新から1900年を過ぎるころから、
富国強兵や、脱亜入欧の指針を推し進めた諭吉の方が、
日本の独立と文明論においては有為な社会構築に分があったのだらうか。
どうにも腑に落ちない。
きらいなものは嫌いだ。
青虫の擬態妬まし山椒の木
青虫の大きいのが山椒の木にうまくたかっている。
随分大きくなった。
妻は「ぎゃッ」と叫び、鳥肌が立ったと部屋に入って来た。
ヒーラ細胞、
「ヘンリエッタ・ラックスの永久なる人生」
ヴァージニア州ロアノークの掘立小屋に生まれ、
タバコ畑で働く少女がやがて母となり、病に苦しみ死んだ。
人々は低い声で語り合いながら時代を横切り、散り散りになって、
それぞれに病み、老いて死んで行く。
小さな世界の中での婚姻と出産を繰り返しながら、声を潜めて囁き合い、
ただ薄れて消えて行くのだ。
ヘンリエッタのがん細胞は培養され、主のヘンリエッタはとうに亡くなったが
今でも世界中の研究所でその分身が生きながらえている。
「道はどこだ。道がわからぬ」
飯館村では飯館牛がみんな車に乗せられて運ばれていった。
その中には清姫という25年もの間、手塩にかけた種牛がいた。
手放す直前に人工授精をする。
広場では暴れるほどではないが
最後まで牛車に乗るのに抵抗してぐるぐると走り回っていた牛がゐる。
清姫だった。
「俺もよ、宮城で被災に遭っている」
車の運転手はそう云って運転席に乗り込んだ。
車が走り出すと清姫がなんとなく車の柵の間から顔を押し出すやうで、
飼い主の男性は帽子を目深くして見送っていたが、
こらへ切れずにほほに思はず涙した。
生命と云ふものはつくづくと分からぬものだと思ふ。
11,7/24(日)晴れ
瞽女、遊女、朝顔のつるもらひ泣き
「朝顔に(や) つるべとられて もらい水」 はかの加賀の千代女さん。
得意な感性。
瞽女ごぜも遊女もまったく特異な人生だ。
「NHK日曜俳壇」
季題は「冷し酒」
晩景のととのってきし冷し酒(大石悦子)
青笹の一片沈む冷し酒(綾部仁喜)
冷し酒肴は池波正太郎(大山玲子)
ふるさとの家手放して冷し酒(林留美子)
嬋妍の指揃へけり冷し酒(吉田喬)
【嬋妍】せんけん顔や姿の美しくあでやかなようす。なよなよとして美しいさま。
【妍妍】美しくなまめかしいさま。色っぽいさま。
腑に落ちるまでの怡楽や冷し酒(尾辻のぶほ)
【怡楽】いらく喜び楽しむこと。
冷酒を湛へて青き切子かな(相川正敏)
李伯杜甫旅人の気概(→にならひ)冷し酒(作者不詳)
鬼貫をかたりながらの(→かたるゆうべや)冷し酒(作者不詳)
「冷し酒」でエクササイズ
冷し酒友は遠方より来たる
冷し酒のれんをあけて蹴躓く
冷し酒浅間のけぶり少し見ゆ
冷し酒もみじ簾に薄造り
冷し酒五臓六腑をゆれくたし
冷し酒いつもの決まったものくれし
冷し酒京都に来たら伏見まで
冷酒や天の一滴入れてみる
冷し酒森の石松てやんでへ
吟行の果ての宿りや冷し酒
冷し酒四角四面を忘れ置き
どせう屋にどぜう煮こぼる冷し酒
甚平を着てみる端居冷し酒
冷し酒チドリにかへる家路かな
そして、天下一品のお酒呑みのこの方───
かんがへて飲みはじめたる一合の二合の酒の夏の夕暮れ(若山牧水)
牧水は牧酔。
この逡巡する大人の可愛いらしさ・・・
酒を愛した「酒仙の歌人」。
生涯に残した七千首のうち酒を詠ったものが二百首に。
肝硬変により43歳で果てた。
二日酔いの朝にはそして、このやうな清冽さが欲しくなる。
酔っぱらいはわがままだ。
白埴の瓶こそよけれ霧ながら朝はつめたき水くみにけり(長塚節)
長塚節の母恋をひとつ───
たらちねの母がつりたる青蚊帳かやを清すがしと寝いねつ弛みたれども(長塚節)
露けさのこの辺までの径ありて(清崎敏郎)
一握りとはこれほどのつくしんぼ(清崎敏郎)
箸休めのやうに蚊遣をたきくれし(榎本好宏)
山滴る猿にまた会う大棚田(古川かふじ)
けさのこの辺までの径ありて(清崎敏郎)
前の世の記憶かすかに竹の花(井上徳一郎)
はらからの還らざる沖梅雨晴れる(鈴木山聞)
梅雨御堂死者への祈り生者にも(奥 良彦)
街灯に濃き淡きわが影法師路地に入り来て月に落ち着く(鈴木基充)
体調のことは言ふまい夏が来て凌霄花のうぜんかずらの輝きに会ふ(岩藤由美子)
しづかなる時代の如き心にて池に泳げる鯉を眺むる(足立伴子)
象潟に合歓の花咲きそれっきり
象潟に行ったのはずいぶん昔のことになる。
稲穂がツンツン出てきたころだ。岩ガキを食し、
雲に霞める鳥海に眼を遊ばす。
智笑