ゴキブリを叩いた
希望はまへに
絶望は後ろに
汁となって微かに
牛さんはあはれだ
セシウムは卑怯
運ぶトラックは未練だ
身体を折って見送る
少し涙流れた
牛の肉はミンチに
赤い赤い血の色
少し人と変わらず
セシウム人はあぐねる
ゴキブリを叩いた
不意に横切る希望に
たったそこの物陰
絶望は絶たれた
希望よりもまだ先
泣くことのひま無きまへに叩かれる牛もあはれに人もあはれに
ゴキブリを叩いた
無性もなにも希望も
不意に現るそれだけ
ただに汁を残した
わたし悪い気持ちに
わたし人の気持ちに
ゴキブリを叩いた
牛さんは連れていかれる
ただ体いっぱいに不安を現して
すでに眼に表れる尋常の無さ
痒いとこはありませんか
床屋さんは無邪気だ
痛いところばかりだ
痛いところばかりと
すぐに楽になれると
ゴキブリを叩いた
ひとり歩く
天上天下唯我独尊
智笑