わたしがゐたから私が居た

土に林檎に山羊の歌

わたしがゐたから私が居た

四葉のクローバの青 空の青


ところでけふは朝の雨

ぶだうの蔓の三尺に

見知らぬ花さへ咲き添へぬ

ツパメせはしく軒の下

電信柱にヒヨの声


ああそんなにも時が経つ

柱時計の振り子さへ

止まりしまゝにセピア色


ああその色のそのままに

廊下にい出しば様は

躓きしまゝ眠に入る


ああわたくしが望むもの

蕎麦のグルテン苧麻の棘

親しき人の囁きに

振り返り見し時ならば

また呑むほどにおらびをる

古き時代のトルソーか

アンニョイのまま崩をれぬ


倉石智證