民主主義はむつかしい。

アメリカではtea partyがにぎやかだ。

世論(選挙)と、市場(財布)、のことである。

世論は「選挙」であり、市場は財布であり「雇用」である。

なかなか景気が良くならない経済に国民は苛立ち、

オバマ大統領にはがっかりしたと失望感が国土に広がっている。


浮動票。

彼らは本能に従って行動するのです。

深く世界を洞察しているわけではなく、

目の前の景気、不景気によって反応しているにすぎません。

ペイリンとtea party。

選挙に勝ったからといって、新しい、例えば深刻な失業に対しての解を提示しているわけではない。

「ペイリンのまたお前さん賑やかに道化の人にお茶は飲むかい」

決定的な解を持参することなく世間をお騒がせするこのペイリンなるものは何者なんだ。

「空は青いと云ったら共和党の人たちはノー、と云う。

魚は海にすむ、と云ったら茶会の人たちはノー、と云う。

あの人たちの答えはYES WE CAN、ではなく、

すべてノー、ノー、ノーだ」オバマ大統領

(10/28NHK国谷裕子)


片方には世論を気にかけない独裁に近い国家が存在する。

正確には民主主義的国家ではない国のことである。

これらの国では正しい意味での選挙がない。

しかし、民意に振り回される民主主義の国家も厄介だ。

何しろ時間もコストもかかる。

(五百旗頭真10/16日経)

民意は神様じゃないと知るべきだ。

国民の大多数は政策はこうあるべきだなどと考える立場にない。

多くの国民は政治の専門家ではなく、常に正しい判断をするとは限らない。


日本でも安保などのデモが国会議事堂の前で渦を巻いた時代があった。

学生たちはいつの世の中でも時代の前衛で、先鋭であったかもしれないが、

しかし、冷戦の構造を正しく理解していたわけでもなく、

黒部ダムが刻々と完成に向かってエンジンの総力を挙げていた「プロジェクトX」の存在も知らず、

石炭から石油へとエネルギー転換がなされる「三井三池炭鉱」の世界史の潮流も

大方は理解していなかったと知るべきだらう。


感情の地政学が世界を揺るがせている。

ロマ人がフランスを追われ、ルーマニアにたどり着く不安な表情の写真。

中国の内陸を揺るがす学生たちのデモ、デモ、デモ。

米国の保守系白人中間層からなるtae party───

大方はその根本には失業問題や雇用不安が横たわっている。

しかし、イデオロギーの時代はとうに終わった。

なにしろそれよりもけふのパン、である。


人類の歴史というよりか、humanの歴史自体はたかだか数万年と見てもいいだらう。

ホッブズは人間の自然状態を万人の万人に対する闘争

(the war of all against all)であるとしたが、

文明史の長いたたかいの時代をくぐりぬけて、

普遍的価値を目指して多くの血を畑の畝に、聖地の敷石に、街区や城塞の中に流してきた。

人間には家族が、集団や社会が、村落が、都市が、国家が必要であることになった。

王様は贅沢で享楽的で冷酷で、その上戦争が好きと決まっていた。

税は国家の基本であって、国民も商人もとても王様の重税には付き合っていられない。

革命が起こって、王様は追い払われるか、ギロチンにかけられ、

共和が打ちたてられ、法律が国民の平等や財産や契約の保護を保証することになった。

信教の自由があり、共和や法治は宗教や国家の上位に位置する。

ややともすると勝手に走り出す国家の恣意性を掣肘するためである。


交換は昔から行われている。

交換は次第に遠方まで出かけて行われるようにもなり、

通貨ばかりではなく、為替などの取引手法も考えられるようになっていった。

都市には倉庫や蔵が並び、需要と供給がならされるようになる。

先物なんて云うものまでが発明されて、最初は危機のためのリスクヘッジが目的だったはずが

流動性に拍車をかけ、人々を欲望の坩堝の中に混沌とさせた。
欲望は次第に肥大化していく。

また技術がそれを可能にし、

たとえば船の技術は航海をさらに地球の果てにまで可能にした。

そこでアメリカを発見したとされるコロンブスは

政府と市場の二つの顔を持ち、政府の意向を有しながら、

また果敢にリスクに挑戦して利益を生み出そうとする市場の代表者でもあったというわけである。


片方に国民国家が議会を中心に整えられていき、

同時に国債を管理管轄する議会と共に市場も旺盛になっていく。

ハイパワードマネーは国家、つまり大方はその国の税や税制を担保にし、

その信頼の上に成り立っている。

王さまには寿命があるが議会(国家)は永久的な機関となりうる。

マルクスくらいの時代になると生産の3要素として「労働」「資本」「地代」などの概念が成立、

A・スミスの利己心をふるに開放することによって富が有意に創造され、

それが世界に次第に浸潤し、一般庶民にまでtrickleしたたって、便益をもたらし、

人々は幸福や豊かさを感じるようになって、

結局は国の経世済民に結びつくというものだった。


労働力を支出しても労働と見合う賃金が支払われなかった頃は、

資本家による搾取が公然と剰余として積み重なり上がった。

通常は売り手(この場合は労働者)と買い手(資本家)が、

その値段(賃金)をめぐって交渉する労働市場というものが(今では)存在するが、

だが一方がその価格支配を正当化し独占するならば、労働は必然的に剰余価値をうみだす。

革命が起こり、片方では産を共にし、格差全廃、配給分配、無宗教の共産主義国家が成立した。

多くの宗教戦争や、また産業革命以後の確かに資本家による労働者の囲い込みや、

健康衛生上劣悪な状況下での婦女子、少年まで労働に酷使する不均衡は、

神を唯一の理性的存在とするそれまでの西洋のバロックな近代化に疑義を抱き、

それを否定しさる条件としては十分だった。

マルクスがあの無邪気とも云える純粋な熱情をもって人類の解放を願ったのは、

モノからの徹底した解放と、精神からの絶対的自由のことであった。

資本主義はいずれ必然的にひとりでに崩壊するであろう。

そして人々はモノの究極である「マネー」から、

また精神を抑圧し続ける「神」から、

そして産業革命以降の機械文明の中で次第に都市に疎外化された存在からの

人々のまったき開放を信じたのだった。


だが、この革命として出発したボルシェビキには、

体質として必然的に別な原理主義的要素が息づいていた。

ボルシェビキの規律とは完璧な組織の、あるいは不毛な官僚の規律である。

不毛であるとするのは、それらの組織には本来はガバナンスとして働く顧客の存在が喪失され、

取引や注意は、サービスや気遣いとしてのそれではなく、

自身の保身を中心とするそれへと変異することが当然考えられたからである。

ボルシェビキの文化とは、秘密・非寛容・陰謀・暴力で、

若きスターリンは、このボルシェビキの中で頭角を現す。

つまり、ボルシェビキがスターリンを醸成した。

壮大な実験を経てだがこの社会主義国家は1991,12/25日に幕を閉じた。

何千万人とも云われている犠牲者が歴史の闇のかなたへと消え去った。


われわれの世界では───

価格(値段)は伸縮自在である。

需要と供給はバランスする。

資本主義社会では自由競争が新たな富を生み、市場機能がそれを加速させる。

取引の中でサービスの向上が図られ、倫理が涵養されていく。

機会は均等で平等であるとされ、

敗者には復活戦も用意されている。

そして、それから先の分配は民主主義的行政の仕事になる。

だが間違いなく企業が雇用を生むのだ。

とにかく売り上げのないところには雇用は生まれない。

箱モノが売り上げを生まないことはここ失われた20年が証明してきた。

卵かニワトリかではない。

市場か政府か、でもない。

グローバルの意味するところは、モノが足りなくなり、

生産性が上がれば上がるほど周辺労働者のヒト余りが決定的になるということである。

同じ技術、同じ労働なら飛行機のパイロットさへ、ベトナム人のパイロットでもいいわけであるからだ。

かくしてゑうなき人の賃金は市場でどんどん安くなっていく。

価値は価格に収れんする。

一物一価はグローバルな世界ではとにかく日本では分かりやすいほどに貫徹された。


デフレとはモノが余る。

売れ残る。

ヒトも余る───

ということである。

これだけ日銀が蛇口を広げきっているのだから、

モノとマネーとの数量が釣り合わないとする,

もはや貨幣的現象ではないことは確かだ。

商いでは普通モノが売れなかったら売れる所へ出て行くのが常識。

ASEANではシンガポールが瞬間的に30%を軽々と超えるGDPを、

ASEAN平均でも5~6%の成長率。

日本から近い大連や瀋陽でも14~16%の成長率、

内需か外需か、

ではないのである。

「内を売って、外を買う」とまで云われているくらい、

すでに外需イコール=内需なのである。

インドともEPA締結で合意に入った。

ベトナムでは原発の受注が内定したようである。

だが成長率がすぐ隣にあるのに、それと結び付けようとしない勢力が日本にも存在する。

クラッチがかみ合えば、それらの国、地域との成長率にシンクロしさえすれば、

日本のGDPだって1%とか2%とかの心細いことを云っているのではなく、

さらにその上をいくことだって可能なはずである。

デフレとは卑しい心性である。

何しろもっと安くなるまで買わないでいる。

少しでも安いと一斉に高速道路に、ユニクロに走り出す。

称賛の経済ではなく嫉妬と羨望の経済である。


(10,10/29日経)

聞きなれぬ環pacific黒船に今更ながら瑞穂亀井は

TPPで米国が関税の引き下げで得る新たな利益はそう大きくない。

それでも積極姿勢に転じたのは

「アジアで存在感を確保したいという政治的な意味が大きい」

(みずほ総合研究所の西川珠子主任研究員)。

視線の先には太平洋の向こうで台頭する中国がある。

対する中国は東南アジア諸国連合(ASEAN)との自由貿易協定(FTA)をテコに

周辺国との経済連携を狙う。

この太平洋を挟んだ経済地図の塗り替えの中で、

韓国はすでに米国とのFTAに署名し、

来年から中国とも交渉に入る。

これが日本の直面する現実だ。

TPPではなく2国間でFTAを進めようとしても、

「米国は日本とのFTAに関心を失っている」(経済産業省)。

中国とも交渉のめどは立っていない。


TPP参加、亀井・福島氏「賛成せず」 国民新、反対へ 閣議決定は難航も───

瑞穂さん、

「様々な産業を破壊するのではないか。

唐突に出てきて説明もよく分からないので、反対の立場で手をつないでいく」

と強調した。

■「関税による保護から財政による保護への転換」

■コメなどの作物の場合、関税を撤廃しても生産を維持できるよう、

農地の集約を促す所得補償方式を導入するとともに、

減反を廃止する。

今よりは大規模な農業が普及し、

所得補償の総額を大幅に増やさなくても関税ゼロに耐えやすくなる。

■いかに努力しても大きな内外価格差が残ると予想される、

コンニャクイモや砂糖などについては、

ほかの作物の生産、あるいはほかの業種への転換を農家に促す。

そのために政府が支援する。

これに関しては追加的な財政支出が避けられない。


農業補助はあくまでFTAとセットのはずだった。

“たった四はいで夜も眠られず”

瑞穂さんは日本人としては異なことを申す。

1953年のペリー来航は「唐突」ではなかったのか。

今でいうグローバル化である。

国を開けて広げなさいという外圧である。

明治維新を迎えてそれからの日本は坂の上の雲を目指して上下一心になって奮励努力、

1894年治外法権撤廃、

1911年、関税自主権の完全回復───

悲願の本当の意味での独立国となった。


(10,10/29日経)

TPPで農水省は

「主要19品目のすべての国との関税撤廃で農産物生産額が4.1兆円

との試算を出した。

しかし、国を閉ざしていて農業が強くなるわけではない。

高関税で守っても、農業の産出額は90年代以降に約3兆円った

宮城大の大泉一貫副学長は

「TPPに入らなくても今のままでは農業生産は減り続ける。

構造改革を本気でやるしかない」と語る。

■ばらまき色の強い戸別所得補償制度の見直しを含め、

農地の集約と生産性の向上を目指して今すぐ打つべき手はある。

「市場開放と農業の競争力強化」

という未知の世界に挑むほかに選ぶべき道はないはずだ。


日本のGDP=約497兆円(08年)

約8兆5千億円の農業総産出額に対し、

同友会の推定では国や地方自治体が4兆6千億円も使っている。

全就業人口=約6300万人

農業就業人口=約260万人

外相の前原誠司(48)は

1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっている」

と述べたのも宜なるかなである。

「失われた50年」がさらに続けば、

農業だけでなく基幹の製造業もダメになってしまうとの主張だ。


「つながる」

10,29今日はトルコの建国記念日。

オスマン帝国の時代の後に、1923年に共和国が誕生した。

着実に経済力をつけ、今では中国やブラジルなどに続く成長市場として期待されている。

韓国とマレーシアはトルコと自由貿易協定(FTA)交渉を始めたが、

日本はまだ手つかずだ。

遠い異国のままでいいはずはない。


2010,10,28東南アジア諸国連合(ASEAN)は、ハノイで首脳会議を開き、

域内インフラ整備計画を採択した。

総額は3800億ドル(約31兆円)に上る。

日本など外国からの資金も活用しながら、国境をまたいだ鉄道や道路などの建設を進め、

2015年共同体構築に向け、域内経済の一体化を推進する。

通関をはじめとする各種制度の標準化などを促進することでも合意した。

「ASEAN連結に関するマスタープラン」

シンガポールと中国雲南省の昆明を結ぶ鉄道や

複数の国をつなぐ道路網の建設、電力の融通に向けた配電網の新設など。

“つながる”

「ASEAN連結に関するマスタープラン」

「今回の会議で最も重要なのは(交通や通信網の整備によって域内各国が)

つながることを確認したことだ」(フィリピン・ロムロ外相)

ASEANは09年、経済、政治・安全保障、社会・文化の3分野で

15年までに共同体をつくることをめざし、行動計画と行程表を策定した。


中国、レアアースの米欧輸出を再開か 米紙(NYタイムズ28日)報道

日本向けは遅れも。

クリントン長官はハワイで、

「太平洋の将来は米国にかかっている。我々は役割を縮小するつもりはない」

と述べ、地域の安定に向け、積極関与していく考えを強調した。

特に軍事用語を用いて

「前方展開を維持する」

と明言。

海洋権益確保に動く中国をけん制した。


オバマさんもクリントン国務長官も完全にアジアに顔を向けるようになった。

ASEANでは最も国を開いたシンガポールの1人当たり国内総生産(GDP)が最高で、

国を閉ざしている最も低いミャンマーの差は90倍

片方は“つながる”で、片方は“閉ざす”。

「様々な産業を破壊するのではないか。

唐突に出てきて説明もよく分からないので、

反対の立場で手をつないでいく」

政治に疎い一般の民衆ならいざ知らず

国民の負託を受けた政治のプロであるはずの方々がこんなことを云い出すののさへ空恐ろしい。


倉石智證