10,10/10(日)晴れ
けふは肛門から。
長きにわたって日経新聞に「歌論」(?)を担当なされ、
その執筆の自由、しかし、切り口の鮮やかさに触発された。
けふの日曜日が最終日。
で、敬意を払いつつ───
肛門を最後に嘗めて眼を閉づる
猫の生活をわれは愛する
(小池光・歌人10,10/10日経)
小池光さんは大変な愛猫家でいらっしゃるのだ。
今度は寂聴さんから───
簑(助)さんの牡丹はらりと舞台では枯れ侘び切ッたる玉男泣かせる
1970(昭和45)年頃、
寂聴は人形浄瑠璃文楽の人形遣いたちの世界を舞台に、
週刊誌に連載小説を書いていた。
大阪の文楽の舞台では桐竹紋十郎がいる。
この人は人物も技も華があって、舞台に出てきただけでぱっと舞台が明るくなった。
その跡をつぐ人として若い簑助さんが出て名も人気も鰻上りであった。
この二人は実生活も華やかな色っぽい話題で賑っていた。
彼等が女形を得意とするのに対し、
当時、立役としてめきめき頭角を現していたのが吉田玉男さんであった。
口が重く、めったに話に乗ってこないが、
いつ、いきなり逢っても、さもなつかしそうな深い目の色で見つめてくれ、
「ようお越しやす。御精が出ますなあ」
と声をかけてくれたと云ふ。
日頃の無口さを承知しているので、
そんな短いことばにこもった他の人にはない誠実な響きに、
いつでもはっと心が引き締められる。
この人にはおよそ浮いた噂はなく、
しゃきっとのびた背骨に強い克己心と自信がこもっていて、
思わず深い礼をしたくなる。
舞台も人柄そのままに清潔で勇壮であった。
女郎と心中するような男の役でも、
この人が遣うと人形にまことの情が滲み出て、
観客は思わず涙をこぼしてしまう。
開花しきった牡丹のような簑助さんと舞台で組む時、
玉男さんの芸の潔さと洗練された渋さがいっそう引き立ってくる。
(瀬戸内寂聴10,10/10日経「奇縁まんだら」)
10,10/11(月)晴れ
拍手して国がよくなりゃ世話はないやや胸のまへミサイルのまへ
金正日総書記と正恩氏が閲兵した軍事パレードは正規軍としては3年半ぶりの開催で、
ラヂオプレスが伝えた朝鮮中央テレビの中継によると、
一部米領も射程に入れる「ムスダン」と見られる新型中距離弾道ミサイルを公開した
(米欧メディアにも公開10/10)。
なんなんだ、この一様に同じスタイルの拍手の姿は。
厳密に云うとしかし、金正日と息子の正恩の拍手の仕方は
他の人たちとは違うんださうだ。
「日経日曜俳壇」
あれほどの暑さも時のつれ去りぬ白帝川原に八千草ゆらす(山崎碧)
象使悲しみ癒えず敗戦日(平田百合子)
綿入れの防空頭巾蝉しぐれ(加藤賢)
曳かれゆく蝶の骸や原爆忌(宮澤なみ江)
10,10/13(水)晴れ
チリのサンホセ銅鉱山の救出劇に世界中が興奮し、感動した日である。
シルエットすでに小町の容姿なり山下りてきて里のもみちは
9/23日に苗場より秘湯「赤湯」に向かった。
その下山途中、登山路のなかほどに
心細げに生えている10㌢ほどの丈の紅葉の木と目が合った。
よくここまで大きくなったなぁ、
でも道の真ん中じゃあダメだ・・・
というわけで自宅まで持ち帰って来てしまったのだった。
(ほんとうはいけないんだぞ)
あまりの可愛さに僕は紅葉の幼樹に小町と名前をつけてしまった。
10㌢にも満たない背丈の中に、
すでに何か兆すものがある。
何か訴えてくるものがあるではないか。
そしてこの日、姪っ子の弥生ちゃんに第2子が誕生した。
第2子は希望に近いエスペランサ未来多くの幸せ抱いて
弥生ちゃんに第二子の誕生。
女の子、2500㌘で早産だったそうである。
ちょうどチリで世紀の救出劇が始まった。
救出中に生まれた子供の名前がエスペランサ。
希望であった。
里山に降りたるクマのあはれなる梁にしをれば撃ち下ろされり
福井県勝山市のデイケアセンター「野向の舎」で看護師を襲い、
施設内に残っていたクマが13日午前、
猟友会のメンバーに射殺された。
体長約1.2メートルで体重約58キロ、
生後約3年の雌のツキノワグマという。
クマは天井の梁の上に昇っていたという。
そして翌日も───
10,10/14(木)晴れ
斜前はすまへはAさんがゐてBさんはクマ撃ちに行く秋の変調
けふは学校に出た。
山からは5㌔も離れているというのに、
畑でお一人は重傷、
学校で庭掃きをしていた方は校舎に避難したが熊は打ち破って校舎内へ。
射殺されることになった。
14日午前6時40分ごろ、
山形県長井市成田の市立長井北中学の校舎にクマが出入り口のガラスを割って侵入した。
玄関で清掃中の校務員、丸山和夫さん(59)がクマに突き飛ばされ、左足に軽傷を負った。
これから後日も日本列島のあちこちで熊の出没が続くのである。
ブナのどんぐりがない、
いや、温暖化のせいだとか、
熊には世界で何が起こっているのかさっぱり分からない。
ほんたうにクマってゐるのは熊なんだらう。
ハローウィン軒に掲げて夜もすがら
高校の同級生の太田政男くんが来る。
相変わらずにこにこ顔いっぱいで笑っている。
秋果穫りあとの広さよ空の青
リンゴ、柿、あけび、も・・・
つくづくと秋のゴーヤのもの寂しひねたる子らにいさゝむらたけ
もう枯れ始めた蔓の端々に忘れられたようにぽつんぽつんとゴーヤがぶら下がっている。
どの子もみんな小さいうえにひん曲がったものばかりだ。
自らが望んだわけではないが、かはいさうだよゴーヤの子供。
いささむらたけ・・・は吹く風の、につながる。
秋風がちょっと吹いて、ゴーヤの子らは用もなくゆれたりする。
智笑