(10,7/8日経)

マネーはどっちに動いている。

中国の日本国債の購入は05年の年間買越額の=2.9倍に上がった。

5月単月の買越額は1~4月分を上回って=7352億円。

中国当局が膨らむ外貨準備の運用先を日本の短期国債に広げているとみられる。

通貨とミサイルとどっちが果たして安全保障に近い位置にいるのか

中国に米国債を買い占められたアメリカ───

クリントン国務長官は

「これはかぎりなく安全保障の問題なのよ」と眦をあげ苛立ちをあらわにした。

コマツも元の為替予約の量を引上げた(3分の1から→半分に)。


戦争なんてするなよ。

ベトナム戦争は結局米国に双子の赤字とインフレをもたらし、

ニクソン大統領は金兌換を放棄した。

ブッシュ政権も戦争が好きだった。

クリントン政権がせっかく積み上げた双子の黒字をみるみる食いつぶしてしまった。

ナショナル、なんて大嘘つきだ。

そもそも実際に戦場で戦争を体験したこともない世代が、

ブッシュJr、ブレア、プーチン、安倍・・・または田母神など、

ナショナルを唱えることこそ心もとなく、あぶない。


ペシミズム(悲観)とユーフォリア(陶酔)は歴史的には交互に時間軸の上を繰り返し、

また地域でいえば今は米欧や日本などをペシミズムが覆っているが、

それをしり目にアジア・新興国にユーフォリアが生まれて来ている。

■1980年代の欧州は「成長の限界」がささやかれ、ペシミズムが蔽ったが、

サッチャーが現れ、米国でもレーガンが登場すると

小さな政府、新自由主義経済がもてはやされ、

金融改革と同時に産業資本主義から金融資本主義へと大きく舵が切り替わっていった。

そのころの日本はペシミズムとは大いに無関係だったこともあり、

1985年のプラザ合意の円高カードと内需拡大の約束を鷹揚に受け入れた(前川レポートへ)。

国内は低金利のアクセルを踏みっぱなしに、

また、円高はある意味で交易水準を有利にし、

輸入企業にそれが減税のような効果ももたらした。

そして熱に浮かされた陶酔はバブルの頂点へと人々を導いた。

日本の「the 生保」などが、盛んに米国の不動産を買い漁ったものだが、

さて・・・。


93年に政権に就いたクリントン大統領のもとで

“ペイ アズ ユー ゴー”pay-as-you-goを順守し、財政再建にいそしんだ。

財政が金融ににじみ出ていくことになると、結局市場の混乱をきたすことになるからだ。

メキシコ危機があったその年、米国は中国の元の大幅切り下げとドルとのペッグを保証する。

そして、あの95年になった。

(95年、ロバート・ルービン財務長官の“ドル高政策”=79.75円)。

強いドルに世界のマネーが吸い寄せられ、

米国は安いコストで、世界で高い利回りを稼ぎだす構造を整えた。

アジア通貨危機(1997)、ロシア通貨危機(1998)など、

国際金融資本は経済の需給の大きいところに向かって流れ込んだが、

リスクにさらされるとすぐに大量にまた流出した。

マネーは一国の大統領(インドネシア・スハルト)をも退陣に追い込んだ。

1999年、金1トロイオンス(約31㌘)=252㌦台の安値をつけた。

ドルの信認がピークに達したからだ。

ところがそれから2009,9月、足元の金価格は=1000㌦を超え、

99年時の=約4倍(金を中心にして考えるとドルの価値は=4分の1に➘)。

景気対策と金融機関に対する緊急融資枠

→緊張緩和・ドルに回帰していた過剰マネーが再び

→国際商品や新興国市場へ向い始めた。


銀行と証券の境が取り払われたのが1999年、

ITショックがあって、

01年に「9.11」ショックがあった。

その年の暮に中国がWTOに加盟したのである。

G20の時代の幕開けがもう指呼の先にあった。

冷戦終結後の米国は───、

ドイツは東西統合におわれているし、

イギリスはポンドショックで立ちなおれない、

日本はバブルの後始末でバランスシート調整、

経済は深く傷ついて、行政のミステイクでとても再生には至らない、

というわけで、はなから、「経済、経済、経済」を掲げたクリントン政権の営為が実り、

90年代はまっこと米国の独り勝ちになった。

ところで、勝った者は嫌われるのも歴史の常であった。

米国の独り勝ちの傍ら、中東の石油は90年代の間、ほぼ1バレル=20㌦前後だったのだ。

不均衡と、“儲からない”は、次第に中東を追い詰め、

その間の人口爆発もあって、さらに若年層の失業問題も慢性化し、

閉塞感はタリバンののようなテロ組織が醸成されるきっかけをつくったのだった。


グリーンスパンは金融のアクセルを01~03年までほぼ踏みっぱなしにした。

ブッシュ政権のお約束、住宅減税もあった。

だが、歴史的に何よりもしてはならなかったことは、「戦争」であった。

2003,3月、米軍はイラク侵攻を始めた。

ベトナム戦争の結果、米国は自国の双子の赤字を招いたばかりか、

ニクソンショックに至り、金本位制の放棄は、あたかもパンドラの箱を開けたかのごとくに、

その後の世界の歴史に大きなショックと転換をもたらした。

その時からマネーは典型的な“商品”になってしまったのだ。

それはともかく、ベトナム戦争という重大な歴史的過程があったにもかかわらず、

ブッシュ政権はイラクに侵攻、また現在はアフガンで踏み迷っている。

アフガンでは米兵一人につき年間=1億円かかるという。

米国の双子の赤字は膨大なものになり、

リーマン・ショック後の米国の首を締め付けている。

ただそれだけの自国の問題ではなく、世界中に大変な災厄をまき散らしたとしか云いやうがない。

そして中国は米国の“お働き”をいぶかしむでもなく、

米国の疲れを待っているかのやうだ。


さて当然のように中国などが台頭してきた。

09,3月、周小川(人民銀総裁)は、

ドルを基軸とする現在の通貨体制には欠陥があると指摘、

国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)を活用した通貨システム改革案を提言した。

世界的金融危機に対し、最後の貸し手としての資金基盤の拡充、

新興国の意見反映とガバナンス強化,

監視機能強化などのIMF改革が安定性確保の狙いとして俎上に。

■09,4月にG20ロンドン・サミットでは、加盟国の出資を大幅に増やし、

IMFの資本増強を図ることが合意された。

さらに、09年には、初めて債券発行(SDR債)による資本調達を実施、

中国、ブラジル、ロシアの各国が購入した。

あきれたことにこのちょっと前に麻生太郎ちゃんはIMFに=10兆円の出資を申し出ている。

出資と債権(SDR)の購入では全く意味が違う。


(10,4/19日経)

「人民元が自由に交換できるような通貨になり変動相場制に移行したときには、

ドル、ユーロ、円、ポンドの主要通貨で構成するIMFの合成通貨SDR(特別引出権)に

仲間入りできない理由はない」

人民元がいずれ世界の主要通貨となる可能性についてIMFノストロスカーン専務理事は、

日本のことなどに少しも触れもしなかった。


中国の人民元国際化に向けた措置。

09,7月元建ての貿易決済の一部解禁に次いで、

9/8日には元建て国債を香港で発行すると発表した。

■中国政府は7月、上海、広州、深圳など中国本土の一部都市と、

ASEAN、香港、マカオとの貿易取引について、元建てでの決済を試験的に解禁した。

中国の輸出企業は元建てで代金を受け取り、

輸入企業は元を国外の企業に支払う仕組みがすでに動き出している。

■元の国債の発行によって、国外の企業などいままでは運用先が限られていたが、運

用が容易になり、元の通貨としての魅力が増すことになる。

元建ての貿易決済の解禁と元建ての債券市場の整備は

元の国際化に向けた「車の両輪」といえる。


10,6/22日、人民元建てで貿易取引を決済できる地域を全世界に広げた。

人民元の流動性が高まれば、

日本企業も元建て債権・債務の相殺などの財務戦略が練りやすくなる。

■アイシン精機は対人民元で1円円安になると、営業利益が=11億円増える。

対ドルで円相場が1円変動した場合の営業利益への影響額(10億円)を上回る。

■円に対して元とドルがバスケットのようになる。

■例(ドル70%、ユーロ20%、円10%)のバスケットとして、

ドルが対ユーロで=5%、円で=10%下がったとして、

他の通貨をドルに置き換えると(1×70+1.05×20+1.1×10)となり

→合計で(=約102)となり、

元の交換価値はドルで2ポイント切り上がることになる。

■為替取引ではドルよりも元への連動性が高まった。


元による決済の国際化ばかりではなく、

6/21日元の「弾力化」が始まった

(他のアジア通貨などはこれで→くびきから解放される・・・)


(10,6/22日経)

アジア通貨当局者だけでなく、

これからは市場関係者も元をにらみながら為替売買をするようになる。

台湾ドル→1.3%、ウォン→2.5%高。

■台湾、韓国とも中国との貿易額が2000年時の対米を上回って逆転。

韓国の場合は(2000年→09年)では全体の貿易額の中で(13%→23.6%)

■1997年の経済危機までは対米に通貨は連動。

2001年、中国はWTO加盟。自由貿易を謳歌。

05,7月、中国管理為替制度(通貨バスケット)に。

08年夏、リーマン・ショック後再びドルに固定(外需が落ち込むとの懸念から)、

元は米ドルとともに下落した。

2010,6/21日から人民元「弾力化」。

■通貨を貿易相手国の通貨と連動させることで、

自らの産業競争力が為替動向に左右されることを防ぐ。

各国通貨当局にとって、元との連動性を高めることが、

経済政策で大きな意味を持つようになった。

■→21日の上海市場で元高が進んだ。

米欧の投資資金は、アジア通貨当局が元を意識した通貨安誘導のくびきから解き放たれたと読み、

アジア通貨買いに雪崩を打った形だ。


人民元の先高は───

■経常黒字国の中国では出ていく外貨よりも入ってくる外貨の方が多いため、

市場の需給に任せていたら元の値段はどんどん上がってしまう。

■元の緩やかな上昇が続けば“熱銭”と呼ばれる短期の投機資金が

大量に流れ込む恐れもあり→介入。

中国人民銀行の「左」に外貨準備が積み上がった(7割を米国債などのドル資産で運用か)。

積み上がったものとか、勾配は必ず熱エネルギーを持つものである。

中華マネーは“走出去”、虎視眈々と世界の市場や利権をあさり始めた。


マネー「決済、備蓄、運用」───

通貨は他の財やサービスと同じように値段がつけられる。

もらってうれしいのが通貨である。

通貨は資産である。通貨(資産)は3つのリスクにさらされている。

①信用リスク

②市場リスク

③流動性リスク。

通貨(資産)は引っ張りあう。

エントロピーの法則や勾配の法則にさらされている。

一種の熱エネルギーを蓄えているのだ。

■中国の外貨準備が膨大なものになれば、それは必ずどこかへ出てゆこうとする。

熱勾配には逆らえない。

■経常収支と資本収支の黒字が積み上がっている。

中国は経常収支を維持したいのなら資本輸出能力を高め、

資本収支を赤字にして世界経済のバランスに配慮する必要がある。

ところが中国はキャピタルフライト(資本逃避)を警戒して、

資本規制を続けている。

為替相場も資本の量も調整されないとさらにフラストレーションが溜まり続ける。