10,6/2(水)晴れ
酒々芬芬内心忸怩けふも飲む武則が来る久しぶりだよ
「怠惰賛歌」まったくだ。
かなしい性だ。
きのうはきのうとて穂刈さんとしこたま飲んだ。
彼はとても勧め上手だ(笑)いやそんなことはない、自分で飲んだ。
しまいには「酒、酒を飲む」。まゐった、まゐった。
そして、けふは久しぶり高橋武則くんが来る。
飯山出身、飯山は隣だから地政学的懐かしさ…
で、けふもけふとてたぶん呑む。
「月と恋」仏者もすなる歌合せ即興遊戯放生会とや
ほうじょう‐え【放生会】
供養のために、捕らえた生き物を池や野に放してやる法会。
殺生戒に基づくもので、奈良時代より行われ、
陰暦8月15日の八幡宮の祭りに催され、石清水八幡宮のものが有名。
「鶴岡放生会職人歌合絵巻」(江戸時代)
この絵巻の詠題が「月と恋」──
中世の風雅な放生会のよすがに思いを馳せることもできよう。
念仏者の口から発せられている効果線が
六波羅蜜寺の空也上人像の六字の名号に似て面白い。
(安東民兒・羽衣国際大学教授10,5/31日経)
「語りえぬものについては、沈黙しなければならない」(ウィトゲンシュタイン)
例えば自然の摂理や造化である。
科学者はあらゆる物事をみいだしたりはするが、
でもそれらはすでにつくられて「在る」ものである。
なぜそこにそうして「在る」のかに対しては説明のしようがない。
説明のしようがないものに出会うと、ただ感嘆し、沈黙するほかはないのである。
妻は出てゴーヤ咲けよと花毟むしり
花は在る段階で毟らないと、実が付きにくくなる。
不思議だが逆らいやうがない事実だ。
子供手当は大反対だ。
63歳を過ぎでつらつら振り返ってみるに、
私の周りにもぎょっとするほどの子供を持たない夫婦が多い。
その方たちは結構一流企業の方たちが多く、夫婦ともに高学歴者の方たちである。
貧しいから、生活が不安だから子供が作らないのではないのである。
貧しいジンバブエをごらんなさい。
ぽろぽろ子供は生まれてくる。
山に入りゆけばちょっとした水たまりにもこんもりとお玉じゃくしが真っ黒になって泳いでいる。
厳しい条件だからこそ生物は皆一生懸命生殖に励むのではなかったか。
30日夜、東京に到着した温首相は、歓迎夕食会で
得意の「漢俳(漢字の俳句)」で現在の日中関係を表した。
「溶冰化春水,雨過青山分外翠,大地生葳蕤」
(氷溶けて春の水に変わり、雨過ぎて青山は格別青く、大地の草木生い茂る)。
「葳蕤」はいずいと読むんだらうか。
靖国問題による日中関係悪化の余韻が残っていた3年前の訪日と打って変わり、
今回の訪日で温首相は「中日関係は全体的に良好な勢いで発展している」と評価した。
■自国の民主主義化については「正義」「公正」「尊厳」を説明した。
生じつつある格差や分配のことについて触れたのである。
温家宝さんはかって「人類の普遍的価値」について触れたこともあった。
国家の執行役員は大変だ。
(国谷裕子さんNHK6/1)
絵巻物岩佐ワールド絢爛な濃密精緻糾あざなへるかな
岩佐又兵衛(1578~1650)「浄瑠璃物語絵巻」(江戸時代)
又兵衛の数奇な運命。
父・荒木村重が織田信長に謀反したため、一族は全滅の憂き目にあった。
1580年、2歳の時のことである。
末子の又兵衛は乳母に抱かれて辛くも落城寸前の城を抜け出して生き延び、
長じて絵師になり頭角を現した。
民主主義青息吐息じゃんけんポン俺辞めるからあんたも辞めて
われわれの民主主義は青息吐息だ。
「理念なき空想主義者」鳩山由紀夫、
「理念なき現実主義者」(選挙)小沢一郎。
職業としての政治家は理念の伴う現実主義者であってほしい。
選んでも選んでも失敗する。
選んでも選んでも何かがこぼれ落ちていく。
民主主義(投票・選挙)が機能してない。
多くの人が望んだ民主党だったが、その投票は間違っていた。
それにものすごい勢いで変化しつつある世界に対して意思決定がどんどん遅れていく。
議会は世界のスピードについていけないのだ。
このことに関しては企業並みの意思決定のスピードが求められている。
選挙がいけないのだ。
投票にしよう。
民主主義の機能を携帯にセットする。
個人個人の属性(地域・年齢・性別・職業・所得)とともに
瞬時に成り立つ投票集計システムに
面白さと市場性とガバナンスをとり持たせて、
iPhoneの向こうを張るのだ。
毎日が国民投票。
それを報道に結びつける。
面白さや実効性が何かで表現できるようになれば、だれしもが参加したくなる。
ただし老人にはGPS機能や生体反応機能などを付属させて無料で配布するようにする。
■国際標準とか技術の規格は先行者利益をもたらす。
結果、規模の経済性を獲得できるからだ。
現在のアップル、任天堂、などは、メール、ゲーム、音楽、映像、ニュース・・・などなどである。
携帯に民主主義の機能を持たせ、技術規格を世界標準にする。
まじに真面目な携帯があってもいいではないか。
この閉塞、民主主義の逼塞を打破するには
携帯を通じての政府へのガバナンスがたちどころに現れる、
という仕組みが完成されなければならない。
日経緊急アンケート・69社の経営者に(2日)。
「政策財源示せ」=76%。
所得再配分で内需を喚起する経済政策に対しては賛成は「ゼロ」、
60.9%が成長重視を選んだ。
事業仕分けは=過半数が評価。
どうしてこのやうなことが、行政の指針にすぐに反映されないのか。
行政もマシン(携帯も)器(入れ物)の革命が必要である。
10,6/3(木)晴れ
聞く耳を持たないと云い幕間去る未練そのまま目を潤ませつ
ふつつかな私でしたといまさらに「友愛」かすむ国難が来る
■躾というのは「善か悪かではなく」、
「見っともないまね」をするな、
「見苦しいからするな」であった。
肩肌を脱いで長刀なぎなた風車かざぐるまストロボ残像石山絵巻
「石山寺縁起絵巻」(後醍醐天皇のころまで)
あたかも舞楽にいう舞のように、薙刀を回す、片肌脱ぎの男。
水車のごとく回される長刀を見ると、ストロボモーション画のような残像を見てとれる。
大映映画の「眠狂四郎・女妖剣」で市川雷蔵が演じた
無双円月殺法の鮮やかなストロボ残像。
長刀を回す、ストロボ残像の日本における嚆矢。
(安藤民兒・羽衣国際大学教授10,6/3日経)
海渡る役行者の鬼つれて童子も歩く「江島縁起」
「江の島縁起絵巻」岩本家のものは天文年間(室町後期)の制作か。
江の島といえば弁財天。
物語は弁財天が雲上より現れて、海上に一島を造り成したという
江の島造成の話を織り込んだ、天女の顕現譚。
それにしても役行者が2人の童子と鬼たちを伴って海の上を歩む、
このバーチャルな絵をはるか古に発想し描いたことに簡単を禁じえない。
海に張り出した松の緑に絵師の雅趣が感じられる。
(安藤民兒・羽衣国際大学教授10,6/1日経)
さてここから「湯沢便り」である。
10,6/4(金)晴れ
新宿駅東口、タクシー乗り場での待ち合わせ、
10時半、田町でのお仕事を早めに切り上げた五百樹くんを乗せて、
車は中央自動車道から、圏央道を抜けて関越に、
湯沢に到着、いつもは高速を出てすぐに右へ曲がるのだが、
今日は左にハンドルを切り、そのまま苗場に向かうことにした。
三椏の部落を手前、右に入り、和田小屋方面へ、神楽の奥深くへと林道を進んだ。
1時近くになっていたがこのまま昼ごはんに突入するのもなんだからと車を停め、
藪漕ぎにと斜面を上った。
いつもならイワウチワの淡いピンクの群落が見られるものを花はもう一切ない。
それにコシアブラの白木も大きく葉を伸ばしてしまっていた。
かなり上ってこれはこれはとあきらめて、
左へと片斜面を滑り降りるように無理したら、
ちょっとばかり手にした熊笹で左手の小指の付け根辺りを切ってしまった。
やったな、という熱い痛みがつつッと走ったのでそれと分かった。
田舎の山村にいたらしょっちゅうのことであったが、
久しぶりのことであった。
熊笹に切り赤い血や春の礼
山間に入れば藪漕ぎをしてついでに指の腹を熊笹ですっぱりと切った。
血が思いのほか流れ出て、
山祇の神の礼に従へ、といわれているような気分になった。
小さい谷川に下りて指を洗い、指の付け根をきつく押さえ、
胸より上に上げる。
春蝉に殻あることを忘れをり
摘んだ山菜の中にいつのまにか春蝉の小柄な抜け殻が紛れ込んでいた。
春はようように過ぎていく。
紅空木藤むらさきと色競ひ
紅空木が咲き初めて山藤は盛りを過ぎつつある。
それでも山肌や谷あいに緑が勢いを増してくるにしたがって、
あちこちに紅色と藤紫色を競い合っているかのようだ。
独活こいで斜面の少し崩落し
あぶない、あぶない──急斜面なのであった。
足元の土が少し崩れて谷の下へと転がっていく。
根曲がりやその辺りある藪動き
笹薮がうごめいて藪の中から五百樹くんが出てきた。
「採れました」と手を上げて獲物を見せ、顔が満面に笑っている。
根曲がりはその夜の晩餐で電子レンジで焼いて、皮を剥いて、
青々と生まれたてのような筍の茎を、田舎味噌をつけて食した。
採れたてをその日のうちにこうしていただく、
至福のときである。
蕨野は妻とかち合ふ別の妻
蕨野で別のご婦人とばったり。
お互いに挨拶は交わすが、
妻のライバル心に火がつくのであった。
気がついたらあんな離れたところまで行って摘んでいる。
獲物を掲げて自慢げに手を振っている。
10,6/5(土)雨
この日は雨の中をマンション出発、浅草岳登山を目指す。
この項は別に浅草岳登山として───
10,6/6(日)打って変って快晴である。
川虫の川面きらきら魚影なく緑の傘の下で憩める
せっかくの天からいただいた素晴らしい日曜日の天気だ。
妻は午前中からお出掛けし、蕗の茎とか蕨を摘んで部屋に意気揚々とご帰還あそばしたが、
窓から見やると三椏神楽、平標、
マンションの裏側の窓からは大源太山が雲ひとつなくくっきり見渡せる。
昼飯を部屋でいただく理由がまったく霧散してしまった。
簡単なつまみを妻は手早く仕込んで、ポットに湯を満たし、
ランチボックスを仕立てて出かけることにした。
行き先は大源太である。
何しろ青空にくっきりとお山の雄姿を表し、
なるほど東洋のマッターホルンと自称するのも宜なるかな、である。
紅空木が左右に咲き乱れる細い林道を上って、
行き止まりの大源他の駐車場に車を止める。
駐車場は全部でも12、3台くらいのスペースしかないが、
中型のバスが送迎なのか、駐車していた。1時近くなる。
もう下山した方もいて、駐車場にはバスのほかには5台しか車は留まっていない。
新緑の枝に遺せる毛鉤かな
大きい家庭用の湯沸しポットをそのままリュックサックに入れて担いで、
ほかにランチボックスが入った冷蔵用のキャリーバッグも首からぶら下げる。
妻は妻でリュックサックを背負い、駐車場から藪地を抜けて、杉林に入った。
杉林は去年あたりに手が入ったのだろうか、かなり間引きの伐採が進んでおり、
例年に比べてずいぶん明るい陽光が足元まで届く。
そして、引きもきらない春ゼミの鳴き声である。
山に登り来て、この春の蝉の鳴き声を聴いただけで、もう十分である。
死や生を突然に思い起こさせ、しみじみと私をして感傷的にならしめる。
多くの人の死者の精霊が飛び退り、
多くの生者の生へのエネルギーが杉林の中を、
私の頭上を影形なく交錯した。
思いがけず泣きたくなるほど、とはこのことである。
大源太に上る登山道の最初の渡渉地点である。
さながらの水量の谷川を、スチールパイプの簡易の橋が渡されている。
水流は大きな石や岩を噛み、
ここに至るともう春蝉の鳴き声も水流に時々にかき消されてしまう。
橋の袂からどこか手ごろなランチの場所はないかと、
めぼしい岸近くの岩場を見つけ、そこに食事を担いで降り立った。
岩に腰をおろし、足を思い切り投げ出せば、
谷に流れる水流に足を浸せそうなくらいである。
岸の大きな岩に腰を下ろせば、
緑の葉群が幾重にも頭上に降りたって来るような気分になる。
浅緑や黄緑や新緑から濃い緑へと、
数え切れないほどの様々な樹木が枝枝を空に伸ばし、重なり合い、
谷川の我々へと緑のカーテンを差し伸べる。
妻はそこで、新緑の枝にかかる毛バリを見つけたのである。
誘われて森のはずれの谷川で昼餉いただく午後ともなれり
春蝉の啼くや妻とも杉林
寝曲がりのついおいでする手を伸ばし
すべての緑の景色と水流と山祇と天下の午後に缶ビールで乾杯する。
ランチボックスにはかぼちゃのサラダタルタルソース、手作りチャーシュー、
カキのバター焼き、蕨のお浸し・・・
最後にカップヌードルに持ってきたポットからお湯を注ぎ、
コシアブラの緑みどりを薬味に飾った。
紅空木花に虫出るいそがしさ
次々と急がしそうに昆虫たちが入れ替わりやって来る。
まったくの小宇宙である。
メメント・モリ、一瞬のそこにフォーカスする。
だからといって、一瞬が永遠につながっていくのだ。
水張田みはりだに空映し込み蛙鳴き
それ以外は辺りは全く静かなもんだ。
昼餉時ということもあるのか、広大な田圃には人っ子一人見当たらない。
杜若かきつばたむらさきゆゑの人見頃つかんで離す脛はぎの白さや
(以下辻原登さんの「韃靼の馬」日経より)
「江戸むらさき」は花川戸助六の喧嘩はちまき。
吉原一の遊女揚巻を求めて蛇の目の傘をさして花道をさっそうと歩いていく。
黒縮緬の着付け、赤い襦袢と下がり、たまご色の足袋、・・・
ライバルは横恋慕の髭のお大尽意休、
意休こそがなんとこともあろうか名刀「友切丸」を持っている。
磯開き海山開き山祇やまつみの
6/24日が浅草岳の山開きとなる。
日経日曜俳壇
どの子にも遠く暮して蓬摘む(二藤覚)
ヒヤシンステーブルクロス妻は留守(白石勉)
駅よりは徒歩緑立つ法隆寺(船所信一)
人を見ぬ番外札所余花に合ふ(小林恕水)
お蚕神様おしらさま拝む山中朴の花(石田武美)
姉妹あねいもと白玉つくるほどなりぬ(渡辺水巴、昭和21年の作品)
白玉の滲まぬ紅のうひうひし(渡辺水巴妻)
たこ焼きや上海万博春の月
スマップの公演が危険であるからと中止になった。
韓国の人気グループでも切符を求めて怪我人が出たとか。
万博ではたこ焼きも人気。
日本発の発明である。
顔変えて総理大臣菅直人呪縛を断ちて人気上昇
小沢二重権力構造を遮断できるか。
“脱小沢”。支持率はとりあえず急上昇した。
民主党員自身、とにかく小沢ストレスから脱出したかった。
五百樹くんは「政治家は子供手当てとか議員定数削減とか、
どうでもいい国内の内向きのことばかりでみんな小粒でどうしようもない」──、
なるほどその通りかもしれない。
ぎしぎしの生ふるを採りて部屋に置き他の野の花と活けて楽しむ
ぎしぎし(錆色と緑)、二人しづか(花は穂状で真っ白)、フランス小菊の白、
フランス小菊はここいら辺りではいたるところに野生化して密集して花を咲かせ、
風が吹けば、まるでメロディのやうに優しく靡いている──、
赤爪草(薄いピンク色)、ノコギリソウ(細かい花弁が寄り集まって白)、
ミヤコグサ(菫の花弁に少し似ていて黄色)、ノアザミ(濃い紫紅色)
野から頂いてきたものはその命を使い切ってあげないとね・・・
妻は翌日、マンションから東京まで濡れ新聞に包んで持ってきた。
今も元気だ。
智笑