09,9/8(火)晴れ

注連縄を四方に立てておろがみぬ秋冷え冷えと山の端に来つ

人類は自然崇拝から始まった。

人間は全体をわがものに出来ない。部分である人間は、修業で聖性に達しても、

次の瞬間には日常に戻ってしまう。

戻れるのが健全で、非日常に行ったきり、が狂信、原理主義者ということになる。

(荻野アンナ・作家09,9/8日経)

しかし、高野山などに見られる曼荼羅、或いは吉野の山全体にあふれるあの全体性とはなんだらう。


マツムシソウ蝶の重さにむらさきに

群馬県水上の何処か。

雄二、芳賀、吉川。吉川が珍しくウーロン茶を飲んでいる。


アンダンテ帽子被ってカンタービレ秋は静かに足元に来る

文化とは余剰。その余剰がなくなってきた。

足元に虫が集く。リーン、リーンと集く。

「糸刺せ、針刺せ、つづれ刺せ」と聞いたそうだ。

冬着の繕いを急がせる声だという。夜が静かな炉辺のころの物語。


オバマ大統領

8日、ワシントン近郊のバージニア州の高校を訪れ、学生たちを前に

「君たちが学校で学ぶことが国の将来を決めることになる」

と語りかけた。


空晴れた石を拾いに秋の川

小石ばかりの、河原があって、

それに陽は、さらさらと. さらさらと射しているのでありました。

... さればこそ、さらさらと. かすかな音を立ててもいるのでした

中原中也だなぁ。


09,9/10(木)

虫聞いて月見てかへる良夜かな

穂苅氏、白砂ちゃん、マッチャン。

「マッチャン、もう男卒業したかな」

と店長は皿を洗いながら厨房の奥から聞く。

笑いながら私のほうを見て舌を出す。

穂苅氏は鳥海山の登山のムービーをカウンターで見せてくれる。


09,9/11(金)

猟官がいざ激しくてこの人がまたぞろり出る小沢の民主

社民の瑞穂おばさんは環境相を求めたとか。

亀井のカッちゃんが総務大臣が欲しいなどと、無茶苦茶な。


HTV名前付けたらかぐやとかシャトルのあとの宇宙そらの旅立ち

宇宙航空研究開発機構(三菱重工と開発)、

9/11日、国産初の無人宇宙輸送機(HTV)打ち上げに成功。

18日に国際宇宙ステーションに結合し、食料品や日用品、実験器材を運ぶ。

宇宙輸送に日本名乗り、シャトルの後継にらむ。


秋深しイルカをただに見に行けり

娘のこの現実感のなさ。つくづくと将来が心配な秋の空だ。

夕食はチンジャオロースのじゃが芋の細切りバージョン(筍代り)。

まあ、美味しかった。ビール3缶と焼酎レモン割一杯。


9/11日午後3時20分ごろ)

秋澄むや青き尾翼を尾根に残し谷の轟とどろに残骸の燃ゆ

ヘリ墜ちて秋の響きのすさまじくふり仰ぎ見るジャンダルムかな

岐阜県各務原防災ヘリ奥穂尾根で墜落

直前まで視認できるほどの晴れだったが、その瞬間雲に隠れ、

バン、という音とともに吊り下げられた遭難救助用のロープが激しく揺れた。

本能的に救助用ロープのフックを外す。

操縦士ほか2名、死亡。遭難者は心肺停止で死亡していた。


「お彼岸」

春分と秋分は昼と夜の長さが同じ。

お彼岸は「到彼岸」(原語で「パーラミター」(波羅蜜多))に由来する。

暑さ寒さも――というわけで悟り「仏菩薩の悟りの世界を彼岸」(中庸、中道)を得るのにちょうどいい。

日本の先祖信仰(すぐ身近に置いておく)

と根底にある農耕儀礼太陽崇拝が結びついた。

春彼岸は豊作を願う「予祝行事」、秋彼岸は「収穫感謝」の様相があり、

神さまと仏さま両方が結びつき、四季が明確である日本に根付いた不思議な民族知となった。


「願わくは花の下にて春死なむその如月の望月のころ」

春彼岸は旧暦の2月中旬ごろにあたり、彼岸桜の咲くころで、2/15日の涅槃会にも重なる。

涅槃会彼岸会桜の花が重なる浄土幻想の歌であったかもしれない。

(鈴木正崇・慶応大学教授09,9/11日経)


松原泰道

「生涯修業、臨終定年」

「生きるときは精いっぱい生き、死ぬときはお任せする。

それが禅の生き方なんです」

「経済恐慌より、人間の心が荒廃することの方がずっと恐ろしい」

「あらゆる悪が人間から招来するものなら、

あらゆる善もまた人間から招来することができるはず。

結局は、人間を救うものは人間であり、

その自覚のみが人間を救うということです」

(松原泰道・前龍源寺住職09,7/2没101歳


木村次郎右衛門112歳

「苦にするな嵐の後に日和あり」

「思うこと思うがままにならぬのがかえりておのが身のためにこそ」

「明日がある。なんら苦にすることはない」。

(京都府京丹後市)国内最高年齢。


09,9/12(土)

「考えるとは一語ずつ躓くこと」(吉田一穂)


虫の夜の星空に浮く地球かな(大峯あきら『夏の峠』1997年刊

今夜の私は自宅で虫を聴いている。

この闇のかなたには父と母がいて、小さな灯りをともしている。

そこがほかでもない私のふるさとである。(高田正子・俳人09,9/12日経)


秋雨やまだseptember(9月てふ温ぬるさかな

(土)ほぼ1日雨である。


09,8/13(日)晴れ

昆蟲記這い蹲って山毛欅ぶなの春

犬塚勉さん

「石、これも一つの生命だ」「大切なものは目に見えないもの」

「それは雑草ではない、一つ一つの命だ」

「無数の中に命の気配がある」

「ひれふすような謙虚さ。そのために心を、体を鍛える」

『山の暮らし』(切り株)。

「自然の持つ圧倒的な奇跡的なもの、あともう少しで摑まえられる」

『暗き深き渓谷の入り口(Ⅰ、Ⅱ)』1988年絶筆。

「絶え間のない命の営み。どこまで入り込んでも手が届かない」

「あれを摑まえられるなら命を失っても後悔しない」

「水が描けない・・・行ってくる」と9/23日、谷川岳へ。38歳で没。

「私は感動している。深く感動している。かくも美しい星、地球」。

犬塚さんの絵は曼荼羅になった。

大日如来の腹に塵埃も石も木も水も土もすべてが入っていき、

それから発生し、消えていく」

「地・水・火・風――犬塚さんの風景は有機体である」

自然と一体となるには這いつくばるしかない、のである。


運動会日にち待たるる笛、太鼓子の拙つたなきに赤とんぼ翔ぶ

(日)晴れ。近くの小学校から賑やかに聞えてくる。


NHK日曜俳壇兼題「女郎花」

選者三村純也、ゲスト玄侑宗久

ゆれやうのものいいたげにをみなめし心変わりと身投げと(小北木柊生)

女郎花風を往なして立ちにけり(坂田世輝)

木曽馬の牧のほとりの女郎花(小野田清久)在来種、胴長。

一本立ちあとはたふれてをみなへし(川崎展宏)

樅高し雲流れゆく明日は旅(遠藤宗徳)辞世

家族を呼び、風呂に入り、白衣身に着け、亡くなった。

ターミナルが3つ。

ゲスト玄侑宗久は云う。戒名をつける。字数の少ない故人の人生。

俳句も禅と同じで間口が広く,奥が深い。

禅の自然観、人間観と同じ、「私」というものを無くしていって自然と一体化する。

この句にあってもしかし、終りという感じが全然しない。


死ぬ朝の野にあかがねの鐘鳴らむ辞世句


薄氷の吹かれて端の重なれる(深見けんニ)

季題と一つになった時句が生まれる。


「女郎花」でエクササイズ

女郎花その後ろから風の村

墨染めの衣の下や女郎花

俤やをみなへし揺れやまず揺れやまず

寝転んで空の青さや女郎花

薄の穂きそへるあなたおみなへし

川風や残暑復活女郎花


夜濯すすぎや伽に出る日の月夜かな

生身魂蛇抜け殻の山家かな

月見どち口をぬぐって知らん顔


乗鞍やコロナ脚下の夏スキー

国井雅彦さん(NHK)は今日は乗鞍登山。

バスがぐんぐん舗装路を行くとあこがれの山頂はもう目の前。

頂上直下の雪渓ではモーグルの練習が行われている。

雪渓にシャベルを手に汗をかいている人が居る。

何年も前から雪渓にモーグルのコース作りをしているのだ。

「将来はオリンピックも目指したい。世界中に行ってみたい」

14歳の少年ははにかみながら応えた。

コロナ観測所には大学生らが来ていた。

観測所の中のものすごく大きな望遠鏡が山の頂からさらに上の宙を観察している。

観測所には今ではパソコンも置かれているが、昔は記録も観察も大変だったらしい。

棚には手垢のついた先人の観測日誌がぎっしりと並んでいる。

「修行の場です。ここでは耐えるということを教えてくれました」。

脚下照顧である。

人々は黙々とつつましく、しかしうれしそうに日々の自分を務めている。


「がに」

薄の穂風のまにまに靡くがに国内くぬちはなべて彼方あっち向けほいと(椙村忠彦)

桜花散りかひ曇れ老いらくの来むといふなる道紛まがふがに(伊勢物語)

・・・するように


高村光太郎

「天皇あやふし。

ただこの一語が

私の一切を決定した」

「真珠湾の日より」

「玉音ぎょくいんひびき終りて又音なし。

この時無声の号泣国土に起り、

普天ふてんの一億ひとしく

宸極しんきょくに向ってひれ伏せるを知る」

「一億の号泣より」

日本文学報告会の詩部会会長として戦意高揚、戦争に全力没入・・・。

戦後岩手県稗貫ひえぬき郡太田村(現花巻市)字山口の粗末な山小屋で7年間

たった一人で農耕自炊の生活を続けた。

「暗愚小伝」

「僕が山に入ったのには、必然的な理由があってのことだ。あれは隠遁とは違う」。

50年「暗愚小伝」を含む詩集「典型」を出す。

慙愧と自己流謫るたくの気持ちから山に入った。