09,7/10(金)晴れ

揺りかごの歌うたひ出す皇后の老ひたる母の顔のやさしさ

皇后さま、けふ、ニュースで、カナダ・トロント。たまりませぬね。

いろんなことを自然にできる方は、何とそれだけで美しいのでせうか。


合歓の風関越道を湯沢まで

渋川を過ぎて赤城へ向うころ関越道の両サイドには

合歓の木が緑の葉叢に鮮やかに淡いピンクを風に揺らしている。


口笛のいとするどくて古き歌風呂に唄へば老ひさらばへて

風呂場で口笛が鋭く鳴る。よく聞けば古い歌だ。中学時代に音楽の授業で・・・。

年寄りの尻も腹も皺だらけに老ひさらぼへて。

湯沢、マンションの風呂で。


夏風邪や二丁目ていふ偽熱かな

みずきが風邪をひき、同室の洋ちゃんも風邪をひいた。


七夕やはや浅草の甍越へ

鬼灯市になった。


鬼灯の笛を鳴らすは赤い帯

みんな浴衣を着て、鬼灯の籠を下げ、

しかし、今では鬼灯の笛を鳴らす少女はゐない。

いつも喉元まで悲しみがやってきていて、そんなことも抑えながらみんな一生懸命生きてゐる。

でも、なにかの拍子にその突っかへ棒がパッと一瞬はずれることがある。

涙がこぼれる。


09,7/12(日)晴れ、薄曇り

丸焦げの船曳かれゆく群青かな佐渡の刺し網夫婦船はも

哀しかり佐渡の刺し網焦げゆきて船で曳かれる海の静けさ

哀しきは夫婦でい出し刺し網の焦げて帰らぬ海の蒼さよ

昨日の零時前後に自宅を出て夫婦で刺し網漁に。

二人とも60歳をこえている。軽トラックが岸壁に停められたままだ。

丸焦げのまだ煙が立っている刺し網の船が港に曳航されていく。

夫婦はまだ見つかっていない。

夕刻ニュースで、甲斐妙子さん61歳、遺体で見つかる。

なぜ、かくもこのニュースが悲しいかと云へば、

これが今の、そしてますます近い将来の日本そのものであるからである。

老夫婦が二人して、深夜、刺し網漁に出掛ける。

若者は居ないのか。

深夜に出掛けなければならないほど、生活は逼迫しているのか。

あるいは将来不安が暗黙の慣性の法則としてかり立てるのか。

補助としての「アンペイド・ワーク」が必要だ。


NHK俳壇・季語「雷」

「いたう鳴る雷」「せめておそろしきもの」。「神なり」は雷。

十勝野を一呑みにしてはたた神(長谷川きよじ)

日雷ひがみなり威しつづけて止みにけり(内堀迪夫)

父の辺にみんな寄り来る夜の雷(神森優)

遠雷父に戦の傷のあと(濱野正美)重い内容を「遠雷」で。

落雷の顚末話す女かな(大竹美智子)

雷や邪馬台国を鹿走る(浜岡健次)ワープ、古代へ。

雷の声五月雨これに力得て(子規)明治29年

み鏡に火のはしりたる雷雨かな(大橋櫻坡子)


水脈の果て炎天の墓碑を置きて去る(金子兜太)

海に青雲生き死に言わず生きんとのみ(金子兜太)

幾世をも咲き継ぎ此の世の彼岸花(坪井洋文)59歳で没。


日経俳壇

よしきりや望みどおりに利根の月(中野笙子)

星涼しいもうとを姉梳くしけず(嶋田恵一)


「雷」でエクササイズ――

蜘蛛の子を散らす驟雨やはたゝ神

雷や山高ければ里に下り

はたゝ神子は泣き止んで母の胸

はたゝ神妻如意棒を摑みをり


トラノオの蝶一匹を風ゆけり

山野に入るとトラノオは大振りに大胆に尻尾を振っている。


夏雲やスーツケースに蝶を入れ


ヘビ苺母は帰らね山の際

母恋になるのだ。お母さんが帰ってきてくれたらなぁ・・・。


天然の茗荷筍がワンサと生えているところがある。

ウグイスも上手に鳴けり夏が来る

林道に車を停めて山を振り返ると、もうこの季節には鶯はそれこそ上手に鳴き出だすのだ。

うくいすを聞いてたしなむ老ひの愚痴

たしなめる。きれいに泣かなくてはなんない。


女郎花をみなえしその先いそぐ男郎子をとこえし


ふくべ流す燈籠に灯を宇都宮

7/12宇都宮空襲。悲しいことがどっさりあったとさ。


夏雲や石得て無碍むげの心かな


山アジサイ水が上がった妻抱きぬ

夕刻からのの鳴き始め、

都議選も終わりTVのスイッチをきると蛙の合唱が一気に窓外に喧しく聞こえてくる。

東京に持ち帰った山紫陽花は明礬を入れたら、

また元気を復活し、ますます萼の紫を濃くした。


白目剥く人のうごめく夏の雷はや匙投げぬ選挙間近し

右往左往、右顧左眄。

今年は雨の量が例年よりも少ないらしいが。


09,7/13(月)晴れ曇

蛍呼ぶ谷とおぼしき恋惑ひ

蛍は何処へ行った。

冷えまとふ光は闇に妖しくて蛍飛ぶかな蚊帳に打ちつく

朝に死んでゐる。


口中に打ち水くらふ暑さかな

口中彩味。打ち水はビールでもいいじゃないか。冷奴、心太・・・。


雨蛙草の緑や陽の斑食ぶ


蝉落ちるもう頬突えはつかないワ創作。


口元もとかくもつれる河豚の毒しどろもどろに戀ののれんは

恋ののれんを潜って。とかく旨きものは毒がある。


寝苦しき朝めっきりと夏の涼

寝苦しければ余計に夏の朝は涼しさが際立つ。


雷を聞いたふりして江戸の夜さ

さうかさうかと大腰、小腰・・・。


眼が合へば捨ては置かれぬ山の花

撮って撮ってと写真を誘ふ。