09,4/28(火)

アポリア雲雀ただ高く空に棲む

「アポリア」人間の存在をめぐる難問題。「いずこから来て、いずこへ行くのか」・・・。


ある暗き闇をはっはっと息を吐き長き列らの人の臭さよ

イデオロギーと幻想の時代があった。唐十郎や寺山修司の世界である。

ヘルメットを被り目ふかく顔を隠してデモを繰り返す若者たちよ、

死者を凍土に埋めし狂気よ、

人の精神をうちのめす警邏の棍棒よ、

ジュラルミンの盾の輝き、散水車いく議事堂の前、

新宿の街はまたしても発情し、

花園神社にテントの舞台が怪しげな花のやうに広がる。


晴嵐や厠を過ぎて大空へ

古い家の厠はそのまま青嵐に運ばれて行ってしまうのではないかと思えるほどがたぴしと音がする。


山下が清が画きし緑の芽

スーラーの点描のやうに、刷毛にうっすらとグラディエーションする緑百色がさんざめく。


蚊に刺されし程度と云ひしあの方が過去に例なしと民を脅しぬ

「官民ともに異常事態であることを覚悟しなければならない」と与謝野馨財務・金融、財政大臣。

国債発行額=44兆円と過去最高に。税収を上回るやも知れないここぞとばかりの大盤振る舞い。


云ったでせうテポドンなんてこはくない豚インフルの世界揺るがす

WHOがフェーズ4に警戒を引き上げ。メキシコでの死者がすでに=105人に。

パンデミックになるのか。経済不安が広がり、米国株価も下落➘、円高で→➚95円台に。

駆逐艦、ミサイルなんて世界のためには何にもならない。

知っておかなければならない、事実認識は必要だが

大騒ぎ、空騒ぎすることなんて時間と経済のムダなのである。

北朝鮮にはどんどんミサイル飛ばしていただいて、どんどん貧乏になってもらえばよろしい。

(4/29日経)


「氷雨ふるきさらぎのはてつくづくと嫗おうなとなりぬ 昭和終んぬ」

2月の冷たい雨が降った大喪の日の感慨を、

難解な歌人といわれた山中智恵子さんがこのように詠んで、もう20年が過ぎた。

(「春秋」09,4/29日経)


荻原朔太郎

ささげまつるゆふべの愛餐、

燭に漁蝋のうれひを薫じ、

いとしがりみどりの窓をひらきなむ、

あはれあはれみ空をみれば、

さつきはるばる流るるものを、

手にわれ雲雀の皿をささげ、

いとしがり君がひだりにすすみなむ

初夏の空を部屋にみちびけば、そこには囀る雲雀の声がある。

得がたい天上のそれを皿の上に盛って、や

るせなくも、ものぐるほしい幻想の料理にする趣向だ。『月に吠える』に「雲雀料理」。

「みどり」「ひばり」「ひだり」が響き合う。(小池光・歌人09,4/26日経)


逢着す水のやさしさあめんばう

みな活発に動き出す。万物は造化する。

てふてふはヌルハチ見たり裸んぼう

韃靼海峡を越えて飛びゆく。ヌルハチさんは清国の開祖。


新宿や月に掛けたき物語り

下弦のいい月が、ビルの谷間に出でている。