09,4/4(土)晴れ、夕刻から曇り
まだまだお花見は続く。
けふは秦野のハイキング。権現山、弘法山、吾妻山それから鶴巻温泉でお風呂、と云ふコース。
南みんなみす花ありと聞く秦野かな
行ってまゐりました。
秦野ハイキング、幸先よく稚児の行列にまず会ひぬ、
象の背は甘茶で曳かる稚児の列
しかし、最初のじぐざぐで汗びっしょり。
なめてはいけませぬね、でも、
ぽんと頂上に出ての絶景の見晴らし、
桜、さくらにさんざめき、
まずは重畳至極と一服でした。
襟に風を入れあとはなんとなく余裕の峰廻り、
花回廊いまは待たるゝびぃる哉
(とはわたしだけか?)
次は権現山の頂に、
見晴らしに登り360度のパノラマに、
あゝあれが富士山あれが相模湾霞みてけふの佐保姫の裾
佐保姫の尿いばに霞める富士の峰で、
わたし、白内障、さっぱり見えないのでありました。
東名高速道が走り、東海大学の派手な屋根は分かったが、
あとはおぼろに残念なのでありました。
頭上には桜、山吹も色をそへ、道端には菫の紫色がゆかしく、
また白い草イチゴの花などもなぐさめてくれます。
弘法山に到着。
右に鐘つきの堂、前に不思議な井戸がある。
井戸をこぐと水が樋を下る。
「ふうむ、やはらかい」と五百樹くんは。
むかし弘法大師ありて、この地にいたりてどん、と杖をついた。
乳色の水は飲むと安産、子育てにいいとか、
そのむかし、・・・あったとさ。
お水は透明でした。そばの池に水飲むネコもゐて、
なんとなくご利益ありさうだと考えたら、口中にさわやかな後味がさッと。
卵焼きみんなが好きで花の山
糖尿の話しなんども花の山
お弁当はいつも楽しい。
大勢でいただくとまた楽しい。
缶ビールはちょうど一人一缶ずつ。
齢をとれば、それはそれはでみんなで一つずつ病を持ち寄って、
病気自慢と、昼は流るゝ――。
弘法さまのお堂にお祈りして、さて次は吾妻山を目指す。
山道は緩慢に上り下りし、
左右にゆれ、ものの芽のいよいよ芽吹き、
人の声も時に間遠ほに、山吹は昔語りに、
ゆるらかに命満ちて来る。
刷毛みどり、目にあはあはと、花粉目にやさしく溶かす。
やがて、山道もこの空も、
浅黄色のさまざまな緑にグラディエーションするのだ。
吾妻山
景行天皇のとき、日本武尊は東国征伐の帰り、
その東征のおりに妻の弟橘比売が海へと身を投げ
海神を鎮め、自分を助けてくれたことを思い出し、
妻をまた偲び、三浦半島を望めるこの吾妻山の地に立ち、
「あずま、はや」と詠まれたとのこと。
あずまは「東」であり「吾妻」といふことか。
たゝなづく青垣、やまとし美うるはしと、
しかし、能煩野のぼので病に臥し、ついに故郷へは帰りつけなかった。
望郷の思ひは白鳥となって翔んでいく。
山を下り、竹林を抜け、民家を右に、高速道路を潜ると、
鶴巻の町に出た。
この町には温泉がある。
すぐに陣屋、大和館の看板が眼に、
しばらく行くと陣屋さんの軒から立派な桜が道のほうへ、
はみ出すやうに枝を張っている。
花の風老人ホーム車椅子
誘はれてホームの人に花見かな
けふ見た桜のうちで一番みなぎっている。
桜の花びらの一枚一枚が風が吹くたびに真っ白に膨らみつつ、
おいでおいでをしてゐる。
車椅子の人は呆然として、花に対峙してゐる。
笑みさす人に花の冷へ、か。
うっすらと笑みを浮べ、数人の看護士らもみな花の枝に見入っていた。
老人ホームのとなりに、弘法の湯の立派な建物があった。
「ただいま入浴待ちの状態です」と玄関の男性は恐縮して云ふ。
なんもなんも、この不景気なご時世に結構なことだと、
ここでも五百樹くんが。
花疲れお風呂で流す鶴巻かな
弘法の湯で玉さらす花疲れ
炭酸カルシウム温泉、透明の湯は肌に優しく、温まる。
じんわりと筋肉がほぐれ、
さてと、振り返り見れば、五百樹くんは露天の脇の椅子に腰掛けぐっすり(?)。
白鳥の翔び立ちかねつ「あづま はや」弘法の湯の今に栄える
しかしまあ、大変な賑はひ、と2階に上がり、休憩室へ。
やがてまた皆で飲みだす花見かな
休憩室の窓からもまた桜の花が風にゆれ、
一杯が、二杯に・・・となってしまうのでありました。
桜ほど酒喰らふ樹はなかりけり(雪腸)
お疲れさまでした。
智笑