09,3/1(日)晴れ

冬温し老若男女葛根湯かっこんとう


泣きたいと目をしばたたくアホ大臣泣きたくなるのはこちら側こそ

鳩山総務大臣、東京中央郵便局を視察。役人をいっぱい引き連れて。仁王立ちしてゾンザイな言葉遣いで。

「泣きたくなるとは」この建物の文化的価値をなきモノにして新しい高層ビルを立てる計画のことである。

実現すれば年100億円のテナント収入が見込めるとの話しであるが。

ではどうするんだ。あっちでも反対、コッチへいって反対。自分で経営してみたらいい。

不都合な過疎地の郵便局ネットワークをこれで補完しようと言うのに。


うなはらに白き濁りや盛り上がる釧路春呼ぶ鰊群来にしんくきかな

鰊群来である。久々の春を告げる大自然のうねり。


水入の水をやりけり福寿草(子規)

まんさくや小雪となりし朝の雨(水原秋桜子)

早春の代表的な黄色い花、

マンサクは他の花より早く「真っ先」に咲くことからそう名が付いたとも言われる。


「春は名のみの」

春彼岸の寒き一日ひとひをとほく行く者のごとくに衢ちまたを徒歩す

斉藤茂吉)『寒雲』歌集


中原中也生前未発表だった遺稿中『早春散歩』という詩集。

「空は晴れてても、建物には陰があるよ

(早春は)我等の心を引き千切り

きれぎれにして風に散らせる


私はもう、まるで過去がなかったかのやうに

少なくとも通ってゐる人たちの手前さうであるかの如くに感じ、

風の中を吹き過ぎる

異国人のやうな眼眸まなざしをして、

確固たるものの如く、

また隙間風にも消えるものの如く


さうしてこの淋しい心を抱いて、

今年もまた春を迎へるものであることを」

(中村稔・詩人・弁護士09,3/1日経)


09,3/2(月)晴れ

唇は乳房にありつおとがいに朝の光のはやのぼり来

店長の赤ちゃんは生まれてまもなく母乳を口に含んだ。母子ともに健康。よかった、よかった。


小宮こみさんはいとやはらかくあらはれて新生児室そこは父母

こみさんは気が付かないうちにお出でになっていて、そこは新生児室で親族だけ、だっつうに。

赤ちゃんを抱かせてもらってうれしそう。


に乳を与ふる妻は母にして吾も思ひ出す乳色の夢

この歳になっても、母親の何か甘酸っぱいやうな匂ひはいつも忘れやれない。


長渕の声きこえ来ゆ桜島「ようこそ先輩」生きて感動

長渕剛さん(52歳)が故郷の母校を訪れた。

秋葉原の事件のことを生徒一人一人に「どうか」と訊いてみる。

「居合わせなくてよかった」などとありきたりの意見ばかりに長渕は次第に苛立ってくる。

「どうして君たちは――」と云ふ。

「どうして君たちはもっと激しく怒らないんだ。泣かないんだ。悲しまないんだ」。

長渕は“感動”を語り始めた。自らが高校時代に真剣に考えたこと、感じたこと、叫んだこと。

まず、一人一人が叫ぶことから始めようと提案する。

コンプレックス、不安、恋、感動、怒り、・・・なんでもいい。まず、大声で叫んでみて。

感動がないなんて、人間じゃない。感動するからこそ、人間なんだ。

桜島のお風呂に入り、男子生徒らとは素っ裸で熱く語り合う。


卒業をテーマに、また一人一人に一人一人の“思い”を書いて来てもらふ。

テーマごとにグループができた。

グループは集まって、自分たちの“思い”をそれぞれに朗読しあった。

長渕はそれらのテーマ、テーマの中から言葉を集め、そして、歌詞にした。

「卒業」という歌詞ができた。

「よし、明日みんなの前で、これを歌うからね」。

生徒たちは歓声を上げた。


熱い“思い”だ。あるものは故郷を出て東京に就職する。

あるものは故郷に残り、父母のあとを継ぐ。

ある女子生徒は恋を知り初めた。

あるものは友情を育んだ高校生活の名残に浸っている。

「卒業ってなんだろう」メロディが校舎に流れ、みな肩をゆすり合う。

涙を浮かべながら口づさむ女の子たち。


「おれもあの時はね、やばかった」と長渕は云ふ。「君たちと話していて何度も、やばかったんだ」

泣きさうになったと、ということだった。

グラウンドで最後の別れとなった。

「先生」と言って、長渕の周りにみな集まってくる。

「よし、来い」としばらくして長渕が腕を広げる。

みんな、どっと、先生に突っ込んだ。

長渕は生徒一人一人の頭をかき抱くやうにして撫でやっていった。

高校生活、“多感なり”であった。