08,11/16(日)小雨が終始
告別式 地下鉄のドアが開けば「こんにちは」まさかあいつが現れさうな
大江戸線の中井駅で下車、最勝寺。い、ろ、は、に、ほ、へ、と・・・A、B、C、D、E・・・S・・・・。
多くの忘れてゐたやうな方たちも大勢見えた。
次男のHさんが13日からの病状の激変の様子を説明なさる。
自分で順天堂の救急に入った。点滴しながらHさんに電話をしたさうだ。
「よかったな」とHさん、病院に収容され、
お医者さんの管理に置かれてほんとによかったな、と話した。
ところが見舞いに到着した13;05分、病変した。
肺炎の症状で呼吸困難と、心肺機能の低下である。
午後4時に人工呼吸器を体内に入れ、救急から集中治療室に入った。
4名の医療スタッフに介護され一旦は安定状態になった。
Drも「一旦はおうちに帰られても大丈夫ですよ」と言って下さった。
ところが23時頃また病状が急変するのである。今度は急激な血圧低下だった。
お医者さんは「あと2,3時間」と症状の説明を変えた。
「Aちゃんは最後のひと踏ん張り、頑張りました。翌朝の8;18分、旅立ちました」。
お兄さんは挨拶にさきがけ一瞬、言葉を詰まらせたのであった。
誰も3日前、いや本人も含めて2日前でも、
まさかこのような結果になるとは誰一人として思ってもいない。
運命は「命を運ぶ」。
生死事大、無常迅速・・・死は時を撰ばない。
Aちゃんはひょっとするといまだ自分があっちの世界にゐるとは思はず、
「あっ、朝だ、起きて仕込みにいかなくっちゃ」、
なんて、立ち上がったりして・・・。
地下鉄 地下鉄は人の欠伸や眠りまで運んで秋の光が丘へ
他は自分とはまったく関係ない。
死んでしまった友人とその遺族、告別式に足を運ぶ仲間たち、
でも地下鉄の中は、携帯でメールとか、眠ってゐる人たちとか、
きわめてありふれて平和に、
光が丘に向かって空気を運んでゐるのであった。
泣き女 泣き女一人より二人秋時雨
老母は棺のわが息子を覗き込み、名前を呼び続ける。
老母は88歳、「私が35歳にお腹をいためた子で、Aちゃん、Aちゃんと
人の胸から胸へ、腕から腕へと可愛がられ、愛されました」。
また涙を誘うのである。
息子は53歳を一期として旅立ってしまった。
転生 秋深し転生として呱々ここの声
彼はまた生まれ変はり、呱々の声を上げた。
物売り 物売りの声は途切れて木瓜の花
秋の果 秋の果や二人の会話長かりき
この場合は食後、娘と妻の会話である。昼食後洋梨。
狎れる 狎れやすき秋思あやふき近寄らず
意味はない。
破れ蝶 てふてふの翅の破れし秋のはて
それでも、生をがんばった。最後までがんばって、壮烈に自爆した。
構造的不況の影がここまでやってきてゐる。
焼香 子は父に合はせて小ちさき掌を合はす護摩の烟のひときわ高く
親は幼なを股の間に、自分も焼香をし、幼ない娘にもそれを手伝う。
花に埋もれし君ならば「あるほどの菊投げ入れよ棺には」
あるほどの菊投げ入れよ棺には古いアルバム、ショートホープに
故人は一日ショートホープを40本、こよなくあるこほるに魅せられてゐた。
母の言棺にかかる涙かな外はしんしん秋雨の降る
縷々涙、縷々老母の言が続くのである。
とにかくけふは「合掌」である。
お悔やみ申し、冥福をお祈りする。