10/12(日)朝方は曇り、やがて晴れてくる

目覚め、5時。MくんH氏はすでに起床。

Mくんは論文に向かっている。

各30枚程度七項目を執筆せねばと、大変。

朝風呂をして、朝食は昨晩の鱈ちり鍋の雑炊にしてさっぱりと。

平標山登山口駐車場に着いた。もうすでに7割がた駐車している。

まだ薄曇、風も少々、寒い。

7;35駐車場出発、別荘地を抜けて登山口を目指す。

薊、それによく似たタムラ草。キリンソウと紫紺菊、あるいはヨメナ。

路を突然横切る小動物が。リスであった。ピョンピョンと長い尻尾がすぐに右手の雑木林に消えた。

栗の実が落ちていた。

深山には栗の実落ちてリス走る

「リスは自分が埋めた実をしばしば忘れる」H氏。「そこから芽が生えるのよね」妻。

朝の冷気が鼻につんつんくる。ここいらあたりの潅木にはまだ秋はもう少しだが、

林道の右手を仰ぎ見ると頂近くうつすらと色づき始めている。

「娘十七、八かなや」「いやまだ十四、五といったところ」

まだ歩き始め、みんなとりあえず元気がいい。H氏先頭。

8;31登山口に到着。

満天に星降るごとし登山小屋(静雄)登山口に一句、石に彫られている。

水飲み場は登山口をすこし登った方に移動していた。

「あごが出た」とMくんは標識の上に首だけ出し。

満天の星は甘露の水となり水飲み場にはアルミのコップ。

手入れが行き届いた木の階段が続く。唐松の林は秋の日差しを径に明るくする。

幾年も積もったから松の葉は足裏にやはらかく気持ちがいい。

黄なる葉の落葉松の径明るめり

わたしは最後尾、みなどんどん先に行く。

ウコギ科ハリギリの木があり。葉は天狗の団扇。ただこの葉には秋はまだ来ていない。

8;50階段、どこまでも続く丸太や木の階段にいささかみな飽きてくる。

「階段がこはい」「四谷怪談」と続く。まだ元気だ。

9;06Mくんがまず神様の小咄を一発。

「昔々ある山に泉の神様がいました。神様は旅人に水を与え旅人の喉の渇きを癒しました。

あるとき神様は旅人の三人だけに願い事を聞いてやろうとしました。

願い事を言った人の願いに泉の水が変わります。

フランス人の旅人が来て願い事を言います。『神様この泉の水をおいしいぶどう酒にしてください』

『おお、そうか。願い事を聞いてやろう』。泉の水は上等なワインになりました。

次にやって来たのはドイツ人です。『神様、泉の水を泡立つビールにして下さい』

『お安い御用だ』。泉の水はビールになり、ドイツ人の旅人は喉をうるおします。

話を聞いて最期にやって来たのは砂漠を越えて遠い支那の国からやって来た中国人です。

彼はあまりに遠いところから息せき切ってやってきたので泉に向かって駆け出します。

あいにくと云うか泉の近くもう少しのところに木の根っこがありました。

その旅人は木の根にけッつまずいて思わず言いました。『くそッ』」

・・・。

丸太の階段はうねうねと続きます。『糞』とはさりとていいがたく、妻はお返しに小咄を。

山径は険しさをまし、紅葉がすこしずつ色を鮮やかにしていきます。

ドウダンツヅジのすこし濃い赫色、ガマズミやウルシなどの赤、ダケカンバのなんとはなしの黄色、

名も知らぬ植物の径の脇に葉の色も鮮やかに黄に色づいて、葉脈の浮き出て思わず足を止め、

しばらく見入ったりする。山間は秋色に冷えて、汗こそはかかないが、

次第な難儀さにSさんは言葉少なになる。H氏は時にはるか先に、時に振り返り待ってゐる。

真ん中のMくんと妻だけがにぎやかである。

「もう少し」「うそだだまされない」。

標識がありペンキで「平標山の家20分」とあった。

10;00山小屋着。

山の家は新しく立て替えられていた。清潔なトイレは蛇口を捻ると水洗になった。

コイン100円の箱がかかり、女の子はコインを取りに戻る。

小屋の鐘カリヨンは昔のままに山小屋の裏側の見晴らしに吊り下がり、

また見晴台から頂上の方を眺めやると、ガスが途切れて仙の倉もときに姿を現す。

平標は相も変わらずなだらかにゆったりと、山小屋の谷へと落ち来るなだりには

やがて水が集まり滝となって、さらに下方へと落ちて行った。

ガスがよぎると寒い。思わず合羽をだして上から羽織る。

Mくんお菓子「サクサク」。Sさん口数少なし。H氏ニコン一眼レフを広角と二台。撮影に忙しい。

11;20山小屋出発。