お彼岸墓参り。

3/18はじ様の命日。

/花無くばなんの顔(かんばせ)歳古りて

/死んだ人に花を手向けに彼岸入り

/放棄地に花採りにゆく水仙花

/さみしさはその色としも花浄土

/粗土を蹴飛ばしてみて芽吹き待つ

/トリセツの苦土石灰を繰り返し

/sns娘の送りきし梅見かな

/催花雨や花待たるゝを人も待つ

/催花雨を厠で聞きし手を合わす

/催花雨を厠越しにぞ聞きにける

/彼岸まで芋室の芋ありがたや

/お線香の烟目に入む彼岸かな

/花翳の石に冷えゆく彼岸かな

/掃苔や墓石洗ふ人や無く

/野蒜にも野趣なくなりて夕餉かな

/お彼岸や古き写真を並べ見る

/よもぎ餅明日天気になあぁれ

日々は花に時々刻々と過ぎてゆく。

 

倉石智證

放棄地の梅の古木と甲斐駒ヶ岳と。

冬の背(そびら)を追いかけて行くと山の麓に着いて田圃や村々の上に甲斐駒ヶ岳が圧しかかるやうに山景してゐる場所が在る。そこがわたしのサンクチュアリ。きょう日は小春日和の中に辺り一面が秘密めかしてゐる。山塊が白銀のままに景色の中に黙(もだ)し、そこに一本だけの梅の古木が佇んでゐる。今まさに満開の盛りと大枝を時にゆさゆさしわたくしに挨拶ごときをするかのやうだ。白州、蕪村翁の如くわたくしは毎年この丘野辺に登って来る。丘野辺なんぞかく愛(かな)しき。時に拱手し、しばし慰まむとする。年年歳歳人は齢をとり、然るに放棄地の梅の古木は変わることなく甲斐駒ヶ岳を背に真っ白に雪の如くに花を披く。だからわたしは今年もやって来たよときみらにそのことを告げる。

 

倉石智證

ふる里はいま花浄土に。

草萌える。

/紅スモモ受粉を知らす心急く

/驚きや三ン月半ば霜の朝

/覆い解き皇帝ダリア励ますや

/下萌や踊り子草にイヌフグリ

/下萌や踏んで還らぬものばかり

/毎日の目の驚きや草萌える

/蕗上げてお隣さんには倍返し

湯沢地区の蕗をお隣さんに差し上げたら、

まあとても喜んでいただいて、

ケーキに蜜柑付きの倍返しに !

/家の裏に廻ってみれば水仙花

/家人云ふあの毛蕊花(もうずいか)取ってくれりょ

/春蘭の庭のここだけに咲きぬ

/小さき子の米粉ぷにぷに春来たる

/やしょ午や米粉色付く春立ちぬ

/牡丹芽吹く松本城には藁ボッチ

/蕗の薹おらが村では炎(ほむら)立ち

/剪定枝葡萄棚下をちこちに

/グーチョキパー粗き手触り水仕事

/主の無き芽吹き畑のさみしがり

義兄は心筋梗塞のち、すっかり農事を放棄してしまった。

スモモは花を、葡萄樹は芽吹きが盛んである。

 

倉石智證