今日見ていたテレビで、紹介されていた「護身術」。兼ねてより夫に「覚えろ」といわれていて

たまに「三角絞め」や、「腕ひしぎ十時固」をやってみる。ゆっくりやれば出来るけど、咄嗟の時に素早く仕掛けるのには、まだまだ。やる気か?

夜ランしているので、一応気をつけておけ、との事なのだが、今の所怖い思いはした事がない。

それどころか、怖い思いをさせている方である。

地下鉄駅出口前を行ったり来たり走る私は、息をハアハアしながら走っているので、女性にとって後ろから来る呼吸音は、さぞ怖いだろう。

それに「ハアハア」と荒い息で呼吸する音は、女性のものと認識されないことも多く、近づく私の口から発する音に、背中が緊張しているのが分かる。

そんなもんで、また咳払いなどして、小芝居せねばならず、護身術の出番などない。

警戒される側なのだから、背中に恐怖を感じた人達が、護身術を身につけ、逆に振り向きざまに、巴投げされるかもしれない。

危ない危ない。

夜の道には何が潜んでいるか分からない。

私が吉田沙保里さんぐらい強かったら、真夜中でも1人で走れるんだけどな。

夫は、プロレス技を数多く知っており、たまに私に技をかけかけて、キレられ、

「ヤワラちゃんになら勝てる」

と偉そうにしている。

「え?金メダリストの谷亮子ちゃんに?勝てる訳ないじゃん。男の人とずっと練習していたんだから、投げられるだけだよ」

と言っても、

「いや、勝てる勝てる」

と失礼な事を言う。

しかし、吉田沙保里さんは違う。

「絶対ムリ」

確かに…あのスピードにはまるで歯が立たなそう。

私の仕事の上司もレスリングをずっとやっているけれど「吉田沙保里」には勝てないと即答。

へー…そうなんだ。

凄いな。

人類最強じゃなくて、霊長類最強だもんね。

私は「最強」という言葉に弱い。

じゃあ「最速」を目指そうか。

最速と言っても、自分史上だけど。

という事で、小雨降る中、夜ランに出かける。

段々近付く女性の背中に、技をかけられないかと警戒し、勝手に技の応酬を想像しているのであった。